たまには、と山奥ゆきの汽車に乗る 切符を買って、鋏をいれて
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やわらかな うぶ毛の若葉 なでるよう 天塩川沿い 水は満タン / みどりの日
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あこがれて見ているだけの高い空足の下なる石埋まる土
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あの人の瞳は海のよう深くぼくは潜っていけるだろうか
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難しい言葉とか旧仮名遣いとか気負うことないよ普段着でいいよ
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誰からも責められることがないままに眠りこけられる朝を味わう
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おおなんて自分はひどいやつだろう休みじゃないとこうは思えない
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寝ころんでいるだけに見えるかもしれない必要投資の大事さを知れ
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ぶらぶらとポカンがないと何もかも分からなくなってしまいませんか
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いそがしい頭の中がいそがしい忙しいから寝転んでいる
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お風呂場の 排水口から でた汚泥 おおよそ二尺 帰省の朝に / 夢路
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じゃあねって小さく腰で手振る君寂しさを押し殺すかのように
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小さな羽が美しい飛ぶ鳥の 明日かその後か緑へ向かって
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人間が春の嘘から目覚め始める梅雨が偽り洗い流して
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目的の見えない努力は疲れるという意味で生存は疲れる
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生きていて、かつ「無駄だからやらない」と言うのは矛盾のはずなのだけど
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なんとなく 無色透明 だった日々 君と出会って キャンディーカラー
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集団は確かに個人より少し(そう、少しだけ)長くは生きる
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百年と三百年を誤差としていては明日七時に起きられぬ
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今日もまた虚無は元気に行く道の前後左右を飛び交っている
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無きものを 数えながらに 生きること 今日から止めて みようと思う
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買い替えたスリッパにまだ身構える 履き潰してよテセウスの船
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果物を10㌔買ってジャムにする ちょっと富豪になった気分で
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能登の海に大きく構える能登島のとじまは のどかな時間が広がる大地
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朝起きて 生地をこねこね 思うのは みんなの笑顔 広がるように
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帰省して五月蝿うるさがられて根を上げてUターンまで三日かからず
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渋滞は神が負わせし試練かと思う親・家族への日頃の不幸
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くつ下の穴の空く場所変わりゆく引きずる右のかかとが笑う
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新しい人に会う度 この人じゃないと感じるだけの毎日
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彼の声耳からずっと離れない 何年経っても気持ちは続く
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