所作知らず 所以も知らず 巻き戻し 背中に廃語 響きを置いて
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世の中に「絶対」なんてないけれど「絶対」が欲しい夜はあってつらい
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罪とかも背負ってくれるよ楽天で10万もしたしこのマットレス
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お父さん、お元気ですか フィリピンの女の乳首は何色ですか
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人のため、人のためにと家を出て 梁山泊で饅頭喰らう
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静岡の母と重なりしメスライオン 深夜のナショナルジオグラフィック
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白昼夢を見ていたようだ 真昼間のドトールに漂う死の香りかな
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メイド喫茶のピンクはヤニでくすんでて夢なんて見ない自由があった
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その音はおれが頭のまぼろしか 右腕を刺す秒刻む針
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親友があなたの見つめるその先に。ああわたしってほんとにばかね。
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「本当に削除しますか。」手がとまり。いつまで経っても消せぬ思い出。
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やわらかな指でポストの唇をひらく君恋をしているのだろう
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黒髪と金髪きんがみが手を握り合う看板 後ろに竜の足裏
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貯金なく職もなくしたわたくしは一食一食がただありがたく
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風吹けば揺れる風鈴 見上げれば空より青し入道雲
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転職が始まる証明写真撮るフラッシュはそう未来の光
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先生が俺の女になれと言い 忘れられない繊細な禿げ頭
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触れれば指を切りそうな月に季節の切れ目を見た日は湯を張る
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帰らなくてもいいでしょうと言うあなた 後ろ髪引く ほどけるリボン
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ありふれるほどたくさんのたくさんがあふれる夏をスポンジで洗う
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料理用ハサミで髪を切る朝の時間が東に東に流れた
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更け行けば 名残りは汗の 残り香と 乱れた褥 果てる理非道
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ダンボール 底に埋もれる 貝の破片 いつか捨てるなら いっそ今すぐ
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アバウトで輪郭のない午後 笑う君 二人分の影に落つ汗
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ちん黙の コドクを埋める マンゲキョウ こっちへおいでと 誘い満ちる
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わたしがこうしてこうあるからには 忘れ物などどこにもないわ
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もう夏かと思う私と なくくらい自由にさせてくれと蝉ミーン!
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飽きもせず はるばる来たと君は言ふ 目に映るはまだ懐かしのしき
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暑いねと話しかければ暑いねと俵万智ならどう続けるか
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ひさかたの雨のにおいのやわらかく過去の映画をひとり見に行く
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