Utakata
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散り落ちる椿一輪 一輪の恋に堕ちたか 恋が墜ちたか
1
てのひらに落ちれば消える雪だから僕らは距離を零にできない
2
主なき庭にかそけき寒桜 生きるも逝くもひとりの一夜
3
鶏頭
(
けいとう
)
の赤を抱いたのかしら その胸に瞳に燃える炎は
1
午後三時 あなたに会える夜までは眠らせておく紙色の月
1
打ち付けた棺の裏に降り積もる白は桜か四月の雪か
1
かさぶたを剥いで曇天 咲き誇る花には花の地獄があるわ
3
祈りなどしらけてしまった乙女らがつまむ苺の雫したたり
2
やっぱりね前が苦労をしてたからすんなりなんて贔屓しないね
1
百回もマラソンなんて川内が師走のジョーカーきっと復活
1
戦国の恋の終わりはあと何話?結末なんて変えられないね
1
雪々はらり 白妙の縮む結晶に染められて幾度目の冬
1
止めどなくあふれるうたが綴られてこよりて手繰る重複に似て
3
吐き出した息に溺れるごとく冬
2
息止めた桜 冷蔵庫の中はおまえのための赤い夕暮れ
1
盗まれた唇はらはら降り落ちる薄紅色の証を残し
1
太陽の下ではあまねくうららかに染井吉野の白に似た骨
1
花冷えにつぼみ祈りのかたちして生き急ぐためのきみの心音
1
共寝する冬の骸の薄膜は朧の月の手触りに似て
1
冬に添う最後の夜だ 雪色のままに散り落つ牡丹を看取る
1
望んではいけない恋だ 師走の夜 月下桜の狂い咲く程
1
ゆるゆるとわたしをほどくバスクリン 湯舟はきみと同じ温度だ
2
ハンガーのかわりの向いの椅子の背に君のかわりに座るパーカー
1
生垣の制服のみたいな白のなかぼくら二輪の赤い山茶花
1
狂い咲く琉球朝顔手をのばし神無き鳥居に夕闇穿つ
1
実を開き赤裸々みだらなあけびの香 赤い口紅塗りたしてから
1
サバトラの子猫寝転ぶ屋根の上 鰯の雲の海に抱かれて
2
カンジョウガナイガウタッテイイデスカハイワカリマシタウタイマセン
1
えいえんを上書き保存してしまう ちゃんと♡をつけたのだけど
1
くだかれて枕に入りきったのがエリートそばがらとだれが言った?
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