凍ったアクリル絵具をひりだして飛魚のごとき流星を描く 
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唇はギターのようで指先では弾けないFも難なく鳴らす
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頭蓋骨は陶器、眼球は牡蠣の実をひとつぶ浮かべたチャウダースープ(※)
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書を燃やすような羽音の昆虫が冬の昼寝を飛び回っている
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大切なモノが壊れたあの日から 過去の残滓を心が拒む
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たなびいた旗を持ち上げ 水をとり、続けて綴る 送信音を
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雨の音、五月を抜ける、涼しげな 空の色と君の情動は
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いんちきに思えてならぬ透明なフィルター越しのレジの向こうは
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甲乙をつけろと花に言われても桜と梅はどちらも一番
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起立、礼、やばい宿題やってない、窓からの風春だな、着席
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縮毛を矯正した日すこしだけ死んだ気がした私の身体
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いいんだよ空は複数系だから戦火と夢を同時に見ても
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眠ることを知らない星が彼方にあって知らない世界の旅の途中で
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熱狂がぜんぶ落ち葉になって夕暮れ 上着を持ってくればよかった・
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真実まこと裏腹綴り紙幾重 戀一文字を侮る勿れ
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家の中 色とりどりの洗濯物 インテリアとは?笑って見惚れる
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お祝いが 続く春では あったけど 今ではゆ鬱が 来る春一番
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すがすがしいまでに世界は「物」であり肉の一種として脳がある
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仕事よりあるいはそれと同じくらい 大事なひとが、出来たんでしょう
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天国に向かう途中のファミマでも三割引きの七味詰め替え
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波立たず 無聊を託つ 日常は 遠ざかる程 至宝と化する
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もう僕はペンも握っていられない 飛び立てるのを夢見て眠る
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月が帰す 雲で見えずとも 此処に居り 千代に八千代に 我等を照らせ
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きみからの褒め言葉だけ置きざりにされてごうごう風に吹かれて・
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なあお前、同じ人ならわかるだろ? 人海漂う案山子の遠吠え
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「起動します。音声認識を開始しました。(私は博士の右耳が欲しい)」
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早番の朝は早いのだ だから 午後9時は もう眠たい時間なんだよ
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満開に 降りしきる雨の恨めしさ 業平の歌がリフレイン
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ウィルスと大地の揺れは常なれど ミサイルだけは人の業なり
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満開の下で 九〇歳のばあさまを撮る 屈託のない笑顔がこぼれる
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