朝礼が五分で終わるそんな日もある予定が崩れていった
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ビルの上 空の蒼さに立ちすくむ 皆顔のない教室へいざ
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君はみて声を上げたね流れ星 僕の願いは叶えられたよ
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鈴虫を柔くにぎって包み込み 月の高さでよき声を聴く
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なげやりな態度はどこかノンアルコールふうな酔いに似ているの
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朝顔が咲かないままで夏が逝く打上花火も地を這い終わる
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日の出前新海誠の色彩感覚で明けようとする朝
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震度一が手に発生し小刻みにタバスコから降ったスパイス
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箸だけで玉子豆腐を食べられる祖父を尊敬した夏の昼
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「上のハモりのところしか歌えない」 (一緒に歌う、人がいたのか)
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あの人の未来を思うとどうしてか 「置いていかれた」 という気になる
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「真心」を わたしの胸から切り取って “証明”出来るのなら、そうした
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コロナかな担々麺が炭の味 サラダは生ごみ肉は灰汁の味
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「月が好き」貴方がそう言ったから 私は月に思いを馳せる
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繊月の夜に首を括ったら 君は僕を忘れないかな
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「魂を流すんだったらここがいい」― 月光耀かがやく用水路指し
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盗まれた自転車が吐く溜息で深井戸水に落ちる 満月
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ベランダを発った満月彼方へと 首捥月くびもぎづきと名付けてあおぐ
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独房に破れかぶれの二時が這い ココアシガレットさらさらになる
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氷片の玉虫色の断面が 等しく刷られ叫ぶ〈脱却ダッキャク
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ネジ拾う機械は動く変わらずに ねじ切りだった母たちは
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人間が嫌いな僕に好かれてる君は宇宙人、火星生まれの
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遠雷に瞼を閉ざすかなしみに岸のあることわすれて 来てよ
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「きみ、僕に詠まれている自覚ある?」誰とも知れぬひとが詠む私
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姜しい羌しい恙しい「うつくしい」だけ思いだせない
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深窓の令嬢が誘う五月雨さみだれにトンネルを往く巡回文庫
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わたしだって普通になりたかったけど無理だからなんとなく生きるよ
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恋人が作ってくれた常備菜おなかすいて一度で食べきる
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ブックカバーお掛けしますねと30ページで折り返す 栞の代わり
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一色の空に映える満月で積んだファイトをOKってことにして
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