思い出が家出したから窓開けて風通し良い私の心
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目に沁みる雨上がりの青空に雨で湿気た心と身体からだ
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夜が更けたもう寝てしまえやけっぱち雨の眠気に度々のミス
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駄目押しに唾腺のゆるむだくだくの出汁が染み入る大根の味
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庭先の格子フェンスの影を見て「線路みたい」と三歳走る
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特定のひとりを愛すは苦手だし みんなに同じ愛情を注ぐ
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ため息はそこらじゅうに落ちていて道の端で石ころとなりぬ
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俺あげた 首輪外した写真みて 妊婦だからか。 そう思いたい
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北国の 野は花ざかり 真っ白な 冬には真っ赤な ナナカマドの花 / おはよー。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
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にせがぞう にせブルームバーグ にせじょうほう 株やってるやつは いがいにちょろい
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「大人って瞬間最大風速の悪口だよね、モロに喰らうし」
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目覚めれば消えているかもまぼろしはあたかも事実もしかして夢
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タイムマシーン乗せられていた今日だけは記憶と現実手に取れるなど
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十五から一度も会えずにいた友が実家にずっといるよと笑う
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夏向けの帽子を買いにドアベルで十五にタイムスリップさせた
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飴と鞭どちらでもいい あなたから貰えるものならなんでも欲しいの
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万感のキスをください 一滴ひとしずくこぼしてあげる泣くのをやめて
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オフィスにて席に戻ると缶コーヒー「昨日はありがと」彼女の筆跡
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評価されてもされなくても多様性 〇でも×でもそこにいていい
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わたくしは木蔭で煙草を吸っており、あなたのお膝で休みになるの
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息災を尋ねるためにする電話米寿の友の声の明るく
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団交で向かい合う日の上役は硬い組織の貌をしている
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虚しさと 切なさと 心壊こころ弱さを いつも感じている あなたを想って
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ぐびぐびと のど鳴る音が 気持ちよい スカッとさわやか 五月の炭酸
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好きだって もう云えないよ 「ごめんね。」と 君に言わせて 重荷だからさ
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散財の理由をめぐりいざ開戦きみのスマッシュをカットでいなす
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伺へど休診の札かかりをり熱のある子の手を引きかへる
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近寄れば塀の上より飛び降りて悠々として歩み去る猫
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け どっぷり汗を いている グラスのジュースは 生温なまあたたかい
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もう一度 君に会ったと してもさぁ… 好きだと言える 勇気はないな
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