いたずらに半額シールをきみに貼りお買い得だねかごに入れちゃえ
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午前二時夜が泣いてるあの音だ朝が怖いの?一緒に寝ましょう
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なんだかな 夢見たことは夢のまま 膨らまなかったマフィンみたいに
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いつもなら言えぬわがまま「夏だから」その一言で済ませてみたい
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ささやきも溶けそうな雨しんしんと糸電話しよう神さまあのね
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縁側のひとのお膝で眠るねこ万物は夢だわたしも一緒
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寂しさが遠い国まで濡れていて君は籠城 ねえ 今日は晴れ
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鳥はもう過去の廃墟に渡るのに行く先々にあなたの記憶が
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カウンター 月曜宴会 透明の アクリル板越し 悲しい隙間
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ご予約の本はこちらになりますと水槽の底で司書は呟く
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良し悪しの軸は確かにそこにあり不誠実ゆえ良さばかり言う
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隠してたけれどそもそも私など誰も見てない横髪留める
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ステージで かがやく君を 見れたなら また「生きよう」と思えるだろうか
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ぼくのなか 消えない傷を つけてほしい 墓の中まで持ってくからさ
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街騒の届かぬ寺苑濃紫陽花 錦絵のごと心めかしぬ 
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雨止んで紫陽花に情け思いけり藍が極みの鞠重くして 
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ゴミ箱に捨てられている上靴の存在知ってた僕も共犯
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田中さん「家庭の事情」と言うのなら「元気でね」としか言えないじゃないか
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この夏こそ 決戦の時 言い放ち 毎年大した 事は起こらず
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あさな同じ枕を求むべし鴨の浮き寝の耐へられなさに
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全方位祝福される恋愛をしたい臆病者でごめんね
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この年齢でパンデミックス知りました知っている事少ないんだなぁ
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敷島の大和言葉で語らへば君てふ人を知れた嬉しさ
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とろとろと時間吸い込む微睡みの奥の奥まで揺れて落ちたい
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(好きです)を殺して笑う「好きでした」 誰も知らない 知らなくていい
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せめてもの 社会に対する 腹いせに ビールあおって履歴書を書く
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外国の映画みたいに土砂降りの中傘なしで歩きたい日だ
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"I love you." その6音が "like"より 心地が良くて 初句に置くI
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ぼんやりと冷える身体を抱きしめて眠れるようにあれをちょうだい
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教えてくれよ ファタ・モルガーナ、むせ返る ような季節の 訪れを
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