思ひ出をひとつふたつと消してゆく老いゆく人の無色の原野
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見上げた空は白く青く今にもぱきぱきと割れそうで冷たい
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ココアを作ろう 混ぜれば混ぜるほど幸せが感じられるでしょ?
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いいとこも嫌なところもあるけれど代替できないあなたが好きよ
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朝顔に水の戻りてごぼごぼと 沈む肺腑の吐くたまを聞く
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スーツ脱ぎ化粧を落としサンダルで酒を買うためコンビニに行く
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僕が最後のひとりらしくて、虹に向かう。すぐに濡れるワイシャツの襟
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娘 母 妻 夫 父 息子たち 全て 全てを 無名に還せ
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星が好き、昼間はあれど見えぬから誰かを照らすほど光らぬから
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君の背がどれだけだったか あの時の角度を想い首を傾げる
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朴念仁 言われてみればわかるけど 言わねばわからぬ 髪の毛5ミリ
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乳飲み子の指折る度に泣き笑い大声で叫ぶ「骨粗鬆症!」
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水滴をなぞって遊ぶ湯船にはいつかの約束忘れた小指
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街灯に青く照らされ歩み止め落とした視線で見る薬指
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税金を君のためだけに使えたら 心の中で立てる中指
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浮ついたエレベーターに乗り込んで 七階押した人差し指
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iPhoneに気持ちを伝えてもらうべく画面の上をなぞる親指
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バス停に女性が持っている本のタイトル見えてグーグルに打つ
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かんざしを挿そうとしては散る髪にふと考えた「また伸ばそうか」
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包まれる夕焼け小焼けのメロデイの甘く哀しき遠あかねかな
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なべて色はみづ色といふ空のいろ海のいろまた雨のいろかな
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無造作に並び順かへ眺めつるクレヨン箱の深層心理
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太陽が昇れば消える燐光は闇夜に光る紺色の泡
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紺色の夜の温度を感じては肩寄せ合って心地良し肌
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夜夜中、まだ寝付けないみんなたち そんな子のための秘密の景色
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まだ起きているから見える声もある夜しか聴けない星だってある
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夜に生きる訳じゃないのよ昼間には言えないことがたくさんあるわ
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生きるため命を削り働いて白昼堂々グランギニョル
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心臓を瀬戸内海に投げました 岐阜には海が無いと知らずに
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ふるわせる二つの波の重なりを空にかえして夕焼け小焼け
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