好きだよと言わない君の強がりをキッチンの横で少し微笑む
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母曰く、初恋をしたその夏は僕と同じ二十七歳
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東京をとーきょといったその音が私の耳にのこる元彼
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あなたを短歌にさせてもらってます ついでに付き合ってもらえませんか
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簿記検定対策をする君からはカタカタカタカタ電卓の音
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教室に 敷かれるカースト 一番上は あの娘の髪を 揺らす風
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朝起きて昼活動して夜眠る合間合間にご飯をさんど
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てぶくろの中でかじかむ指のよにおさまるところにおさまれすべて
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我知らず四つも取ったドーナツを恥ずかしながらここで食べます
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天井に 描かれた絵を見ているみたい 落ちた絵の具に目を潰された
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二人称 言葉で自傷する 本当ほんとは、君をただただ抱きしめたかった
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殺したいほど嫌えども 無意識に信仰するはただ母の愛
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「国家とはそういうもの」の「そういう」が何でもありで理解不能だ
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次きっと王子みたいに手を取ろう足首掴んだ水底の腕
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闇の中 君が掴んだ 夢希望 私にはただの 霞に見えた
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君のなか凪いだ大洋があるから果てが見たくて笹舟を折る
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見上げたらみんなつられて見上げてる ぼくが勝手に描いた夕焼け・
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ねじひとつ落としてたって気づかずにこんな銀河を歩いてたのか・
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ゲシュタルト崩れて電光掲示板のひかり一粒一粒が星・
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9番の番号札の呼ばれない待合室も刻々と秋・
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消えてなおひとを惹き付ける あの星のような存在になりたいのです
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シロップ漬けの杏を食べてみる 世界のどこかで閃光と音
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ウクライナ 国中困惑 殺されそう 世界大戦 起きるかいな
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昨夜観たドラマのことを語るとき瞳はべっこう飴の色をしていた
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終電に飛び乗り別れた今晩のエンドロールは何色ですか
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できるだけ持って回った言い方で伝えたかった今日の日の午後
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南国の鳥の籠見てカメラ持つ腰の角度は象の背に似て
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とつおいつシロップ選ぶ夜の間に散りゆけ夏も何もかもみな
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喫煙をやめる理由をくれと言う鼻で笑って灰を飛ばした
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太陽に背いて咲いた向日葵よお前も照らしてほしくないのか
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