いつまでも 元気でおれる わけもなし 目が見えるだけ 感謝感激
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右目には 眼圧下げる 器具があり 気味悪いけど 時々見てる
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さすが妻 夫の癖を 先読みし 要らぬの問題 未然に防ぐ
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仕事とか 職業とかは なくて良し 生きてるだけで 楽しくないか
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久しぶり 少し顔出し 定年の 退職前の 有休消化
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テセウスの舩を解体バラしておいて呉れ 此処迄が僕 其処からが君
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愛語なく昏くなりたる室もはや孤独に甘えられずおり
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風に負け 衝動買いする レジ横の 少し割高 コンビニおでん
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暖かき日差しに和む群雀暮るる速さに冬を知るらむ
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お ち  る    お        ち                る
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マッチ売る少女が目にした幻影に格差社会の現代いま、重ねる
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お昼前 給食室の 横の道 いい匂いだな 腹減ってきた
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大人ぶりブラックコーヒー飲む天使 仲間が見てるあとには引けぬ
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春景色 見据えて集る言の葉が 焚火向き合い季語を温め   
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雨の日に手帳に貼った付箋にはほんとの気持ちピンクのペンで
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欲してもあなたの愛は買えなくて返却されるわが愛売れず
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数学は難しくないと言うのなら私の享年求めてみてよ
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ねこたちに 両手を上げて「ワー」してみる キョトンとしてる なにちてるの?の顔
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レジ10円小銭がなくて「ポイントを使えますよ❣️」と笑顔うれしい
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息切らし 薬局のデカ袋 持ち帰る ポイント5倍に釣られちゃったよ
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手を合わせ 車見送る 黒い服 ゆきずりの身で 冥福祈り
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いちばん近くていちばん果てない 海の青みたいだ恋しいあなた
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かりに来む鶉の床に秋暮れて霜に枯れゆく深草の里
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艶めいた上唇の黒子まで引き寄せられるブラックホール
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牛飼いに問えば指さす桃李の村今夜の酒はそこに決めよう
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後輩に渡せなかった紅茶煎れ、もらったお菓子といただく時間
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街に出て見上げてみれば黄葉もみぢせるメタセコイヤは空に突き立つ
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秋と冬 境はどこと 北風と 銀杏イチョウの並木に ふと聞いてみる
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われを憎む妹たちの夕月を洗面器にて保存し眺む
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砂遊び見守る母は北風に 吹かれ凍える季節が来たり
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