女房が出かけていった 昼はカップヌードル やっぱり酒か
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馬の背は九つの時怪我をして背負られ走る祖母の背のよう
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紡がれる 恋の芽生えに誘われて 胡蝶も憩う  夢の花園 
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ママが二十で雪国と訣別した理由を三十にて思い知る
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王道な高校生や大学生 きっとそれが正しいのだろう
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鬱陶しい名前のパン屋が建つ前に何があったかもうわからない
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身体のどこかの『みじめ』がにじみ出し血管に列を成して巡る
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慰めは ″止まない雨はない″ よりも ″降る時もあるよね雨″ がいい
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先ず彼女次は誰それ安心の恐怖が続く惨劇ホラー
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みずしらずの人間に会う夢を見る目を合わせると笑ってくれた
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ただ日々を生きているだけで無理してるこれが俺だよ偽れないや
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アイロンをかけたスーツがシャンとする意外と自分はなんでもできる
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触れたいと言えば2度とは話せないとは言うものの君に触れたい
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生きていくことの辛さに悶えてるでも生きるんだ茹でたまごを食う
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ばかやろう働いてるよと言い返す想像だけで過ごす有給
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なんにせよ生きていくって決めたから明日の仕事もちゃんとやります
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寄りかかる壁があればな女ならなお良いけれど女はいない
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寂しさの膨れ上がってくる夜も毎日のこと呼吸と一緒
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左手の全ての爪が割れているギターを弾くにも削れる命
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ベゴニアを飼いはじめたよ見においでレンジの上のアマゾン島を
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吹雪いてる 海に向かって 叫んでる 嬉し恥ずかし 波よさらって
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キーウから孤児の一人や二人など家で良ければ母となりたい
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華やいだ街並み遠く静かなるこの世で戦火に追われようなど
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駅を背に歩き始めた僕の上 さえ〴〵光る四日目の月
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ビスケット 食べかけのまま 不意打ちの キスをしようよ 月の満ち欠け
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わが町が 髷と雪駄に 華やいで こころ湧き立つ 季節訪れ
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青春に卒業試験あるのなら何度も留年くり返すね
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四十九日 母 玄関から来たりしは ビビリの娘を心配してか
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「成人誌のような営みなんてゴミ」君の気持ちがよくわからない
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風呂場にて腹に落ちたるコンディショナー思い出したあの日の白濁
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