真実を 知りたくもあれど 現実を 慮れば 雑音立てずノイズフリーで
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甥っ子の手つなぐ川辺石なげて 水音さらさら波紋のゆらら
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三月に一日一つ音を置き できる短歌はきっと儚い
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また今日もやるべきことをやれず生き 足の小指の爪先見てる
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春の雨「灯りの電話」繋がらずよく鳴くねこのYouTube見る
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「X」にスマホ音痴な古希やっと投稿ボツにならないいいね
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屹立す 岩屏風照る 光彩の 奥に張り付く チベットの村
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好きなのに「いい友達になりましょう」なんて言われて花冷えになる
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味気ない蛍光灯に浮き上がる白 やわらかなつぼみのにこげ
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喧嘩して縁切るからとに言われ離婚してたの忘れてしまう
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文を待ち 陰ゆく月を 仰ぎ見て 思い馳せても 募るるばかり
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「ごめんね」と「ありがとう」を足したより 「おはよう」「おやすみ」が勝ちますように
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なくなくない? なくなくなくなく なくなくない? ぜんぜんわからん ありかなしかで言え
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我が犬よ大事なものが分かったよ肩書きいらない遜色いらない
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春雷が 丸めた背中 どん!と押す はれた視界に 何色を塗ろう
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雨音と病の犬の寝息聴き深夜の優しさ明日は知らない
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憶測が 飛び交っていて 何が嘘 本当のこと ってなんだろう
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キミが存在するいる世界の夢を見るだけでしあわせなんだ 愛しているよ
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終電の地下鉄でてりたま買った大学生が寝てる。いま、春。
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鱗雲、魚の身体通るように錠剤みたく月が行く夜
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そこにある 見えないものと 見えるもの 気持ちひとつで 虹色になる
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大河後の せつない気持ちが吹っ飛んだ 布団の上で ねこが待ってた
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昨日朝初めて知った純情が煌めいて舞う三月の雪
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観客を泣かせるような演技して名優になりたい妻の前
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身から出たサビを掬って飲み込んで人生修行中だと思う
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桜より梅に惹かれる年になり一体幾度季節はめぐった
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旅立ちに大さじ1の祝福と小さじ1の淋しさを添えます
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父でなく 夫でなくて ただの他人ひと なのにどうして 涙流れる
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さしぐめば 空五倍子染うつぶしぞめのあはの おぼろの月の更に曇らむ
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加護される 暮らしであれば 棄てられた俺など別に オジ抱くことなく
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