背中向く真夜中に見る本当に振り向きもせず背中に隠れた
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さようならこの言葉が言えなくて別れられずに逃げ続けて
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短歌集高くてあまり手がのびず Utakataまるで歌人の辞典
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こんなとき自我を証明したかったすきであること触れられるよう
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夜になり 滲む視界に 震える手 涙もすべて 眠りに溶かす
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サイダーの氷がとぷんと沈む様に 気づけば君に全身夢中
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厚底のヒラヒラサンダル やっぱ疲れる ねこと寝たいから湿布は明朝あした
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「なんなん」用があるのかないんだかスリッパとかさ忘れていくな…
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今朝もまたフロントガラスに鳥のふん恋の季節?ざわざわしてる
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いやなこと思い出してもむだな時間とき過ごすだけだとわかっているの
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紫陽花が土地に合わせた色の花咲かすごとくに我も生きたし
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会いたいよ逝ってしまった人達に素敵な人と今ごろ分かる
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やけ酒と 少し似ている ロキソニン 痛み隠せど 病を消せず
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「ねえショーリ」 小説ほんのヒロインみたいに言ってみる 明日勝つためのまじない
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好きな人短い言葉が清々しい恥ずかしがり屋でまっすぐまえむき
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足枷は些細なあなたの言葉から動くことを自ら捨てた
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森の上ぽっかり浮かぶまんまるの月の光に癒されていく
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何回も使い回した水筒に穢れ感じるペットボトラー
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ゆびさきにアミンが香り思い出すわたしも蛋白塊であること
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午後十時ジャングルジムに腰かけて遠くの電車が忍び寄るおと
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今までは 楽しみだった君と飲み 不安しかない 笑って酔えるか
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夜遅くにしか近くを通らないから潰れたも同然の店
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セミがまだ 鳴かないうちに 忘れたい 重たい恋は 夏にはいらない
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20時を「もう」というのか「まだ」と思うか バロメーターは起床のアラーム
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不眠症 ますます悪化 今や仮眠と変わらずと 呆れかえる娘
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またしても 連勤の記録更新す 疲れが抜けぬ 管理職なり
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脈々と受け継がれてきた 目玉焼きには焼肉のタレって変?
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ごみくずと思われたくない穏やかに生きたいその二つだけでいい
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き わたしが消える 蛍消え わたしが残る 森の暗闇
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勝色の空に組み敷かれたままで光をめて歩く負け犬
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