バブリーなOL時代思い出す 四半世紀ぶりジンライムに酔う
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院内は盆休みなど目もくれず やまいは時を止めてくれない
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精霊馬の背のなだらかさ 死を生をそんなに悪く思わないでね
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台風のいきのねとめる方法をあなたとふたりかんがえてみる
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荒れ庭が我が心なら雑草を抜いて悩みを根絶やしにする
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寝不足と猛暑を跨ぎ散らかりを秩序秩序と言いつぼちぼち
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たまに来る娑婆の暑さに耐えかねて慣れた地獄の釜が恋しい
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幸せに 気付ける者が 幸せで 星の数ほど 散りばめられて
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標識の矢印の向きに夜の風優しく吹いて帰宅促す
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後ろ街 前には日本海うみが広がって 登った分だけ 景色がきれい
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雨音を 聞きつつまったり過ごす夕 大音量アラートに飛び跳ね
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ちょいおおめ たいふうそなえた ぶたさんは 初手は豚汁 カレーはリリーフ
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西山の 連なっている連峰を 時間があれば 縦走したい
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ラインにて母に「野菜」とささやけり 晩ご飯メニューを遠隔操作
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遊園地電車百貨店みな休業 台風7号なかなかの威力
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忌まわしい我が子を縊る遺伝子が 私の中にも流れているんだ
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スマホ画面以外でもつい親指と人差し指でズームする癖
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履歴書は 冷めないうちに 速達で 溢れる想いで心撃ちぬけ
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敗戦の辛い記憶を紛らわす 高校球児の汗が眩しい
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亡くなった祖母が初盆夢の中俺の頭を掴み首を折る
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マスク規制徐々に解けたるこの夏にひさに口紅新色を買う
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敗戦を「終戦」とするマスコミに 他人事としたい気持ち顕あらわ
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長男の 「麦茶がうまい!」のひとことで ビールを探す手を引っ込める
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自死をした 友の最後の 後悔は まだ頑張れた 死にたくなかった
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テーブルの上の未踏のモンブラン 夢見るための時間を下さい
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なんでだろ空が青いのなんでだろ きみの心が澄んでいるから
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コミックの新刊チェックも2ヶ月ぶり 浦島太郎になった気分で
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常備薬 留守のあいだに残り少なき 薬局くらいは行っとくべきか
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「ジブリでも 描けぬほどの 夏にする」 意気込み高く 入道雲まで
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失せ物のふりして泣いたりしないでよ見つけてよって叫ばないでよ
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