同じでも違っているって分かったり 次出会うのはどこの十字路
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あと1つ2つ何かを「買える」から「やめる」のままでまた年を越す
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猫の背に見えなくもない山峰に 猫に倣って あくびをひとつ 
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お前の口が銃口になる前に 言葉が弾丸になる前に
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醤油さし取る手を止めることもなく 焼かれた魚 戦火の報せ
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朝のひかり 受けて向かい合う ねことねこ ひとバトルなのか 挨拶なのか
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笹舟を浮かべて遊びし古里の小川も消えて暗渠となれり
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南天は難転と聞きたわめ居り 短冊掛を こさえ むと思ひ
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死ぬ時は、牡蠣小屋、うどんに北海道。食い尽くしてから一緒に死のう
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国からのマイナポイント餌付けされちょこちょこ使いちょこちょこ太る
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頭よりがぶりと食みし焼山女魚やまめ供養になるよと山小屋の人
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ラジオつけどっちのニュースだ戦闘は ガザ・ウクライナ続く銃声
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仲良しの義母と嫁にも憧れる けど実際は「適度に」かなあ
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義母ははとパスタランチに行くので 朝のパン ステラおばさんのクッキー一枚
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秋桜コスモスは坂の道端咲き競う帰りも首ふる赤い手も振る
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コスモスは風に吹かれて揺れてゐる風は止み花は喜び唄う
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理科専の教育学部一年の課題は虫を十五匹だと
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青空と風の吹かない十六番さっきの一打の罪を背負い込む
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孫よりも若き選者を敬仰す九十四の祖父の懐
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戯れに余白で遊ばせた線のように 電線はよく曇天に映える
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「それはまた、嫌な夢を見ましたね」南アルプス 唾として飲む
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曇りでも 風が少し冷たくても 息を一つ吸い込んで おはよう
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何ひとつお互い何も変えないで僕と結婚してみませんか
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絡まった 糸が自然と ほどけてく そんなふに待つ 今はそれだけ
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テレビ消し無音の世界に包まれる Utakataのぞく午前7時
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好きだとかありがとうとかごめんねも 声に出さなきゃ無いのと同じ
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一匹の子猫を拾いてはや五年 家族の中で一番偉し
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空の色毎日違う私もね絶対なんてないと思うよ
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朝方の 乳灰色の 空一つ 孤高のシリウス 輝く季節
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火を眺め鎮まれるのは自らが焚いたからだ 戦線は遠く
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