猫の毛を 櫛ですいては 毛玉にし 飽きた頃合い 猫はまだまだ
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世界一 でかい観覧車は 君と 行った地元の 百円のあれ
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パピコとか二人で分けてた十五歳 甘くて酸っぱいそんな思い出
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かなしいよ ひとりで触れるやわらかな身体の真ん中長い夜中に
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ただひろい畦道をゆく四足のちからづよさにおどろかされる
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菩提寺の御堂の床に耳触れる なむしゃかむにぶつ染み込んでいる
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冷蔵庫前でまってる 影うつる 影のねこ耳 また愛らしき
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一見の客にも優しくしておくれ セルフレジよお前のことだよ
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ホラー映画でこわがれないよ 夏の夜のしずけさのほうがよほど不気味で
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真夏でも湯船につかる楽しみは 深いブルーのミントの香り
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雨傘を かばんに入れた 初夏の朝 お天気コーナー 、君は見ないで
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この橋を渡って君に逢いにいく ヘラオオバコに見上げられつつ
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あさっての 放課後うちに 来る君の 写真 剥がして 棚に隠した
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ほんとうにわかったやつはみんな往き、わかったふりのやつばかり生き
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モッツァレラチーズと夏の相性はトマトとバジルによく似ている
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てくてくと低山歩く四人組アルピニストの穏やかな老い
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こがねの野辺 かえると家守がうたいだすパレードがあるわがふるさとよ
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天国は理想を求めて作られる天国知らぬ人の手により
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降りる駅表示が地獄になってても興味本位で今なら降りる
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前向きに気持ち切り替え頑張ろうただ目の前が真っ暗ですが
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おげおげと苦しみ吐いて倒れそう膝より先に崩れゆく脳
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もし僕が主人公なのだとしたら勝手するからもうだまってね
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あつあつの お好み焼きに いじめられ 舌が痛むも ほおばる至福
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ただひとつ見つめているの 枯れ落ちて種がこぼれる太陽の花
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雨に閉じ込められているままですか?傷口は避けてあげますからね
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床が実は天井だったらいいのにな。いたいのいたいの、とんでいけ
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ペンギンが「ペ」って鳴いたら「ンギン」にも意味を見つけてやらなきゃいけない
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ゆるされてその先なにがあるのかを ゆるされなくて知らずにいるの
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いつだって涙を流せる気がするの なのに私は名女優じゃない
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気が強い 孤高の君が ふと見せる 迷子のような 目に惹かれてた
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