空を飛び思わず雲を突き抜けてしまうくらいの喜びの歌
6
追いかけるレトリーバーのふさふさの身体抱きつき笑いあいたい
8
天国で大きな桃を手に取って笑って過ごす日々を待ってる
6
丸象が転がるように布団から飛び出す様に安らぐ心
4
明日を知るころにはきっとこの夜がやさしい夢をくれますように
8
立ち込めるディープブルーにさえ染まれずに 夜の入り口はいつも寂しい
9
ゆっくりと進んで休み笑っててありとあらゆる場所のまんぼう
6
横になることしか出来ず泣いていた肺に笑いの空気与えて
4
見送った昨日の私まだそこで心配そうにずっと見ている
7
圧し潰す夜の大気を飛び越えて宇宙の朝を迎えにいこう
4
深海に冷たい雨を知らずしてずっと深夜の香りでいたい
5
いい人もいれば時には心根の饐えたにおいの人もいますね
5
いつか見たものをじぶんでつくれたと喜ぶだけの青い手遊び
5
前を向くのりこえるの歌思い出す今日乗り越えてまた今日で良い
20
今落ちたら死ぬよと笑う君に向け窓から燦々たるまた明日
3
透き通る綺麗な君の耳打ちよ 火照った僕の死ぬ日が近い
4
ぬるめのお湯に揺蕩たゆたって『クジラの彼』を読んでいる今日は海の日
8
ふと言った アピールのがさず それならと 貴方がくれた 提案のがさじ
8
負の連鎖 貴方の弱音 抱え込む
2
朝が好き 全てがはじまる 朝が好き
2
子育ての済みしと見ゆる雀たちお礼のツヅラは今年も来ない
12
可及的速やかな夏破滅から救う気がする君や僕まで
4
捨て猫と覚めない雨が秘めた熱夕暮れの意味知らないままで
7
おほきなる鳥わが腕を掠めしとき祖の恐竜立ちあらはれたり
13
くたびれた境界線の融解を愛と呼ばずしてなんと呼ぼうか
4
真白き雲みなの思ひを吸ひ込みてふわんふわんと丸くふくれゆく
14
今われは生きているのだとふいに思うたとえばバスに揺られるときに
15
山くだる滑って飛んで骨折しいっきに年相応の高齢者
8
今日もまた右手をいたわり日が暮れる術後のリハビリはるかな道程
12
一人きり缶チューハイは三缶目時間の流れ身体を揺らす
12