打つことは決めているのに打つ場所を決めかねている恋の終止符
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不本意を すり合わせして 上手くやる サカムケなんかは 少しの歪み
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イジメられ強くなるとかいう人よ そんな強さは必要なのか
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ガンセンター鯉昇りくる励ましの 来年も逢う指切りをする
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酒蔵の多めの試飲に舌笑ふ ほろ酔ふ初夏の緑の杉玉
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母の着替え前より上手くできたよに 毎日やれば何かつかむね/介護
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額買って子どもの描いた絵を飾る 夏が始まる今日を祝って立夏
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好々爺 看護師さんの前でだけ 家族はむっつり 柏餅食む
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お祭りの手伝いする人数多あまたいてみこしに乗らぬ人の尊さ
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神様がきみに向かって剛速球 流れ星ってラッキーチャンス
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ツツジ咲く 幼きわれが通り過ぐ 花をくわえて通学路往く
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「好き」の種 手に入れたから慎重に水を与えて咲かせてみたい
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子二人と〝小〟の字作って眠ること きっと数年限りの幸せ
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孫ら去り静かになった食卓に残り物食む二人無口で
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庭出でて果樹の花見る幸せを 心に留めたし気持ち落ちる日
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工作は必ず二つ作る二歳 一つはいつも弟の分
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悲しみを 語る友の笑 優しくて 五月の空に 咲くハナミズキ
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公園の芝すれすれにつばくらめ雨の匂いを孕む風切り
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舞う蝶を 目で追いかける 猫の背は 時を静かに 流してくれる
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公園でアイドル真似て踊る少女等 弾ける笑みに吹く若葉風
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渓谷を白波立てて船の往く 谷は知るまい空の広さを
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連休と無縁に働く人々に支えられてる黄金週間
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走るたび黄砂集める車には夏物と愛。父が明日来る
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いくつかの小さな「嬉しい」かき集め 良い日だったと眺める夕焼け
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そのへんの言葉じゃサイズが合わなくて 裸の気持ちがくしゃみをひとつ
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クレマチスひろげし花はかざぐるま 哀しみ知らず夢をまわして
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おろかさをこれも若さとゆるされてもう齡だねとまたもゆるさる
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明日にはと繰り返しつついる内にすでに葉ざくら惜しむ間もなし
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こんなにも実家の庭は狭くって 親の背中は小さかったか
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雨にぬれ 陽に透かされて ピカピカの 若葉をゆらす 風になりたい
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