十五夜のつぎに麗しき十三夜なにか良きことうつしそむらむ
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お弁当毎日作ってくれる母感謝しながら会いにゆきます
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不規則ないびきと肌のぬくもりの尊さだけが遠距離の恋い
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「アレクサ、俺が死んだら古いジャズ流して」ト、椅子につけた小指
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一生にただ一度だけでいいから嬉し涙を流してみたい
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おい今夜飲み行こうぜと言いたいがアンタの連絡先を知らない
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バカなんだ子どもなんてといいながらお子様ランチの旗を集める
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幼子の先史時代pre-historyの足形はいまも地上の裏側を蹴って
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小魚は凛として泳げ惑乱が臍の裏側を渦巻く底に
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聖なるかな 帝王切開のいもうとに生えた輝く永久歯たち
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目が醒める 頭が冴える 晴れ渡る雲ひとつない空の日の朝
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「詩人だから」未婚の言い訳と資料を鞄に入れて営業に
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さわやかに驚かされる感覚が閉じた小部屋を外へと開く
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木塀よりのぞく柿ありさながらに昭和の磯野いその邸よと興じ
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「午前四時、星を見ながら待ってます。きさらぎ駅の朽ちたホームで」むちゃくちゃな虚言癖でも君ならば事実に変えてくれる気がして
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明日から働かなくていいなんて! 鹿肉バーガー! プレモル! 乾杯!!!!!!!!!!
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いざゆかん たつべき時は今なるぞ きょうは仕事を辞めてきました
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はさみ糊爪切り太めのボールペン 誰を待ってるわけでもなし
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友達のその友達の友達の 友達の友 うなじかわいい
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光り翳り表と裏を晒しつつくるくる落ちくる木の葉のこころ
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ことのはの未来へ脱皮せむとしてかげろふの翅ひかり震へぬ
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翳と翳かさなりあひて翳を増し光となりぬる黄菊の秘密
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ひとくちで素直なぼくになるような白いスープを月の光で
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 け落ちたあるいは██した音節がすずろな舌に屯している
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溶け落ちた記憶の縁に夏色の複合体が吊されている
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寒いのは嫌だ嫌だと言いながら 降らぬ降らぬと空を見上げる
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恋人に多くは望まないけれど 声が綺麗な人ではあって
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僕たちが直面してる労働を「普通」と言えば「普通」になるぞ
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どこまでものがれられぬかこの業は おれのこころは雪でできてる
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ふるさとを はるか南にのがれ来て 今は墨絵の雪ぞかなしき
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