「違う?」「いや、違わないかも」「どっちなの」「わからないからもう一度いい?」くちづけたあなたが笑う ぼくはまだ別れのことばを言い淀んでる
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三分の歯磨き逆に砂時計サラサラ砂と歯汚れ落ちぬ
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﹁つけていい?﹂ ﹁いいよ﹂私の イヤリング 君がつければ 妙に綺麗で
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来年も ご縁があれば 暑中見舞い 寒中見舞いを 出させて下さい。
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「好き」 という たった二文字ですむことを 無駄に三十一文字にする
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褒め言葉を醸した酒が世を満たす 十一月の第三木曜
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願えども頭ん中に神様はいるはずもなく只の暗示さ
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あの頃に戻りたいとも思えずに現在いまを惰性で揺蕩っている
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あどけない生まれたての公式は歩いて転んで大人になってく
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眠剤を さっきのんだから 今夜は寝れるかな 「いいね」できない みんなごめんね
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通り抜けできない路地のひんやりとしている空気に似ている貴方
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イヤホンを忘れた帰路は静かで煩い 肩落とし上がる足音テンポ
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夢に君が 出てきたと 話したけれど あんまり覚えていないと 言ったのはウソ
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君のことを 考えていて帰り道を まちがえた 今日の僕は どうにかしてる
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ボブ・ディランの十月からジョン・レノンが天使と跳ねる十一月
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向き合った 距離の近い人 たまにいるよね 君の距離は けっこう近い
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ベランダから忍者を飛ばすビルを越えワゴンに乗って(あ、落っこちた)
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もう雨は降らないでしょうあのひとが泣かない限り降らないでしょう
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青春て短すぎるよたったの五文字若気の至りはいつまでか
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夕暮れは祖母の皺影深くなる家族守った傷痕のよう
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飛ぶ鳥は後を濁さずナンプラー歯ブラシピアス持って出て行く
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元気なら馬鹿でもちょんでもいいんだと言う親がいて「言うね」と思う
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教科書を ぎゅうぎゅう詰めた 学生鞄 肩に食い込む 紐の感覚  
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目の奥がなんてことない朝の光りに、ツーンとする、ツーンとするよ
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マフラーを あの時巻いてくれたのは 僕にとっては 貴方でしたよ
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吐きそうに なりながら 目が覚めて 泣きそうになりながら 家を出る
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君の前髪の〝くるん〞てしてるとこ 秋田わんこの しっぽに似てる
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目を閉じて 耳をすませば 響き出す ちょっと癖ある 低音ボイス
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「ほら僕は なんでもない日、おめでとう派の人だから」 「何その派閥」
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もう二度と 行かぬであろう 公園に 住んでたキリンと聴いてた唄です
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