行きたくもない旅仕度トランクの底に忍ばす銀の弾丸
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浴室の壁のタイルの黒い黴 生活感は消せそうにない
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「好き」だとか 「愛してくれ」とか言えないが、「一緒に死のう」と 視線を交わす。
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きみがためオリーブオイルを熱すとき じぶんのためだといいわけをする
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あの月はいつか見た月、足音も月の光も背中から降る
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つま先のかたちが靴にあわせて歪んでいる 折れた天使の翼のような
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いつしかの ささくれひとつない指でコーヒーを淹れるあなたの前髪
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この春もさんにんでまたいたいね と 希望をこめた手紙を贈る
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わがかいなでねむるきみはいつまでもこねこの貌をしたままでいい
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ゆきけて 気が付いたこと もういいと 思ったけれど 君が恋しい
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風流顔 キメて今宵に仰ぐ月 そしてくしゃみで全部台無し
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白銀しろかねの月は黄泉路の君が御髪くし が口つたふべにに染めまし
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お勝手が集積された路地裏でしか話せないことばがあった
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おかしくて 鏡にうつる わが姿 デンタルフロスは 罪作りな奴
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靴下を履かずに眠るこれこそが春になったと言う事なのか
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「お父さん」呼ぶ気配なき一歳半 作戦変更「ほらパパですよ」
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肩凝りに苦しまされて金曜日 ストレッチ動画を猫背で視聴
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社会人になってもボール蹴る息子らの瞳はサッカー少年のまま
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復興の 応援割りを 得られぬと クレーム言うは 復興の邪魔
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揺れながら流れていった笹舟を見送るように母は手をふる
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点描に光が湾を浮かばせる 港を抱いた汽笛のこだま
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他所よそ行きをクレンジングでほどく君 一人の女性ひとが少女にもどる
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日が昇る 未来を目指し 深呼吸 いただきはすぐ 目の前のみち
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返しそびれた文庫本のページに込めた吐息は夜にほどける
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登山靴 数年ぶりに 履いてみて 山の岩場の 懐かしき春
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可愛らしい看護師さんが測るから献血したのに上がる血圧
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言い聞かす 金のかからぬ 趣味ないと また会う日まで 樋口一葉
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ミツバチはイヌノフグリの花びらにしがみつくよに蜜を求めて
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洗濯機じっと見つめる一歳児 その横顔をじっと見つめる
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卒業と入学のの春風は、こぶしの白い花を揺らして
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