クレヨンで家族を描いたあの頃は花は枯れても散るとは知らず
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わたくしに財布預ける姑のパフォーマンスに嫌気がさして
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みなさんどうか幸せに、来世では誰か選んでくれますように
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包帯の隙間からこぼれ落ちる蛆 のように生まれ来る歌もある
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瓶に挿すダリアが散って枯れている窓辺の刻は気付かず流れ
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侮るな 何度季節が巡ってもわたしは君を好きなままだよ
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恋人に別れのキスを落としてく青年は明日には戦場へ
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走り出す電車の窓に居るおれの斜めかげんに笑ってしまう
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半世紀前の映画の半券は棺のなかにいれられなかった
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ふたご座の流星群が弧を描くあの子に彼氏がいませんように
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イヌという生き物になぜイヌという名をつけたかに愛しさがある
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朝が来るから鉄道路線よ、そろそろ別れの挨拶をしよう
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ひとつの誕生を祝して岩肌に触れた手らみつめている
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朝一番、冬の吐息をふきはらい 血の巡る日にひかりあれ
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歯の抜けた駐車場、闇に紛れて猫と餌を喰う
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火をつけろ 忘れた頃に火をつけろ 繰り返すのが人生だ
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風に舞う 紙屑みたいな優しい手つきで 転がる墓標
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銀匙の鈍い光沢ダージリン浅い笑顔にママの同席
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ふつふつと粒立ちながら起きてきて立ち上る湯気モーニングセット
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shiftキープラス66666 666で主題歌飛ばす
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ついさっき生まれたような気のままであと何日を生きるつもりか
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卵焼き詰め入る箸も軽やかに 胸に浮かぶは愛しき頬赤
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眠ったり食ったりしてやらないと死ぬひとりの人の中で生きてる
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白銀に沈み滅びる地球でもあなただけには世界旅行を
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もう行っていいよ そのままぼくのこと忘れて生きてしあわせになって
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おやすみの『す』で口付けるあなたにも帰れる星がありますように
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今日だけは遠回りして帰ろうか 明日にはここに彗星が落ちる
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どの星の前世がきみかわからないままひたすらにきみの名を呼ぶ
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湯上がりの肌が痛んだ隙間風よりも冷たい客観の圧
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くりかえす夜と夜との間には拳震える一日あって
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