待ち合わせ 君を見つけて 立ち止まり インカメ見つめて ゆるむ口元
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女子マラソン 女神は風の馬に乗り ゴールのパリに鞭振り下ろす
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クレームを聞き流して考える四畳一間と海の面積
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君が今ひとりでいるのはロスジェネのせいじゃないよと言われ納得
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水道の水が刺すよにつめたくて そんな気温でもないはずなのに
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使ってない花瓶に花を生けたとき生まれた時間がとても優しい
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改札のそこだけ白く抜けた壁 伝言板が外された跡
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人はみな心の裡にほとけあり無明むみょうの道をてらすともしび
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我が身恥ず 送別会の 周囲見て 我思う身に 未だなり得ず
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大寒の 婚礼挙げる 二人かな 帝国ホテルの きざはしで写し
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友人の家族写真の年賀状 笑顔で見れる自分でいたい
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沢瀉の 御大二人の 御影見て えにし感ずる 我が身が居たり
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行く当ても なくさまよった 僕たちは お寿司をほおばる こぼれる二粒
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善人の言葉の棘がささる時 来る朝だけが良薬と知る
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物思い ある夜はお湯に囚われて 冷めていくのに出られぬ湯船
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あめつちを におほひける厚雲あつくもの 狹閒はさまをとほす冬の鈍影にびかげ
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豚汁を温め直す湯気向こう日の出早まり睦月も去りぬ
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乗り遅れ あぁと思った だがしかし 時間あるから 散歩してみた
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「遅おそよう」と起きてきた夫キミ ふと見ると 前もうしろも 髪の毛バクハツ
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この世界全人類が死に絶えた夜はぐっすり寝れる気がする
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洗濯を終えて戻った ねこ母を 寝ていたはずのわが猫らが待つ(おひる)(早いよ)
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安売りのミニトマトとても甘くって ピクルスにするのもったいないな
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ふゆうらら しずくがうがつ のきしたの 雪のふかくに うみのいろあり
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夢でしかもう会えないので 杏露酒飲み干せるうちに飲んでおこうか
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ピュンピュンと音がしそうな勢いで芽吹く若葉を子の如く
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ひんやりと洗濯物は乾いてる乾燥注意今日も発令
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ててなし子 お前のかあちゃん どこへゆく 俺の届かぬ ところへいくの
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幾千の人の想いが歌という星々となり空を満たした
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立ち止まる 大空の青 春風を 添えて心は またあの頃へ
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出勤の前の洗濯干せず出て洗い直しはもう何回目
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