いつか見た悪夢の中のあの人の外反母趾の親指の爪
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熱帯夜 今夜死んでもいいような気持ちで一人膝を抱える
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顔も背も 似てない姉妹 ダメンズを 引き寄せる血は 通っているわ
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心にはかっこつけないでといつも どうしてだろうかっこつけちゃう
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誰よりも 近しい貴女は 道標 貴女がいたから 迷わず生きれた
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あの人にいわれたあんなことなんて あなたのことばに上書きされる
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八つ当たり 出来ないことに 苛立って 細かい傷を 刻みつける
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熱帯夜がまとわりついて繭のよう重たい羽を折りたたんでいる
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ひとりきり隙間からわく虚無の群れ 目をつむっても深い暗闇
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常温のハーブティー飲み やな感じ 喉がピリリと 風邪かアイツか
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詠うのは 吾子のことでは ないなぜか 少女にもどり 言葉をつむぐ
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いちばんに好きな宝石誕生石 簡単すぎる出会いにおじぎ
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太陽の石というには優しくて愛というには不確かな色
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きみの手が 繋ぎとめてる 歩く道 ぬくもりありて 心が残る
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きみという 言葉を何回 使っても きみはわたしに 歌を詠めない
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目に見えないものが分かると強いねえ電気の図鑑を寝る前に読む
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えげつねえ事件が立て続けに起きる令和は平和を模した年号
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峠越え 吾の靴ひも 気にかけて 固く結んだ 君の手優し
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水は生命の源 清涼な癒しでもあり 凶器にもなる
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あの日見た夢の続きを今もまだ捨ててないから傷つくんだね
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りゅうちぇるは辛かっただろう。そう言った自分は痛みを解るだろうか
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エアベッド膨らまそうか水害のニュース映像見終えた後に
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優しさは時に心に刺さるから 「涙拭けよ」で泣いてしまうよ
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君のため紡いだ想い風に乗せ届けてみよう ちょっと未来へ
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止めどなく落ちる雫の音を聴く 空が一段近づいた音
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告白をしなかった恋はいつまでも心に残る線香花火
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いちにちの 汗を流したる 蒼き湯で 現世の憂さも すこし流れなむ
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ぽつぽつと落ちるなみだを吸うかぎり青い絵の具は輝き続ける
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私だけ取り残されているホーム「一緒に行こうね、カムパネルラ。」
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15年 100円だった 思い出の味 200円でも 幸せなキャベツ
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