またひとつ亡父あなたの歳に近づいて墓洗う手に汗のしたた
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心臓を刺されたくらいじゃ死なないし振られたくらいじゃ死にたくないし
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天と地をつなぐ山なりマウナ・ケア 夜空のきみはどの星ですか
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「来てるのか」 位牌を拭いて 問いかける 揺れる迎え火 よく知る匂い
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あと一つ伝えたいことあるけれど多分花火が遮るね 好き
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リビングでねこがおもちゃでサッカーを パスだシュートだ ミニゴール作ろか
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流れ来て暑熱倦怠打ち払う桃の香清し甘き清涼
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孫二人 肺炎になり 我が家にて 映画観てから 眠りにつくか
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新宿のカニのタテバイ・ヨコバイを「ホームの端は歩くな」と言ふ
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夏季休暇 仕事のメールは鳴り止まず みんな休めよ 仕事が溜まる
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産まれゐたうらなき姿態に口付けを 闇と柔らぐ山ふたつとや
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さらさらと  ショート動画  ザッピング 欲しいものは この中になく・・・
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俯いて神の啓示を聞きゐたり 始発の扉の前の人々
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同窓会 地元組では合コンブーム 上京組は 焦りが足りぬ
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汗垂らし初盆参りの住職は裾はためかせ原付疾走
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夏祭り おさない恋の跡たどる ノスタルジアのふり向く夜に
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バブリーなOL時代思い出す 四半世紀ぶりジンライムに酔う
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院内は盆休みなど目もくれず やまいは時を止めてくれない
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精霊馬の背のなだらかさ 死を生をそんなに悪く思わないでね
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台風のいきのねとめる方法をあなたとふたりかんがえてみる
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荒れ庭が我が心なら雑草を抜いて悩みを根絶やしにする
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寝不足と猛暑を跨ぎ散らかりを秩序秩序と言いつぼちぼち
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たまに来る娑婆の暑さに耐えかねて慣れた地獄の釜が恋しい
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幸せに 気付ける者が 幸せで 星の数ほど 散りばめられて
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標識の矢印の向きに夜の風優しく吹いて帰宅促す
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後ろ街 前には日本海うみが広がって 登った分だけ 景色がきれい
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雨音を 聞きつつまったり過ごす夕 大音量アラートに飛び跳ね
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ちょいおおめ たいふうそなえた ぶたさんは 初手は豚汁 カレーはリリーフ
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西山の 連なっている連峰を 時間があれば 縦走したい
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ラインにて母に「野菜」とささやけり 晩ご飯メニューを遠隔操作
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