次のとこ 猫の引越し が布団 ひと足先に 夏が終わった
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初心者の 私の短歌うたに 「いいね」をくれる 顔も知らない あなたに感謝
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少しだけ秋風感じる夕暮れは二百十日の翌日のこと
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水の井の上澄みにしか掬はれず兵隊となつてゐる蟻一列
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手が止まる 終わらぬ課題に 目を瞑る 過去を恨む 斜陽差す
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桐の花箔押しにふちどらるるに静謐馬耳東風なりき東風こち吹く
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バスタブに形うしなうほど溶けて満たされてるはお湯だけでなく
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クーラーとアイスコーヒーに冷えた身が 御前ごぜんの彼への気持ちも覚ます
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チェルノブイリ。苦艾のみづ忘れ水流されはじむひとのこころも
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こどもには色も香りも宝石のドロップ一つ缶振って出す
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フロンティア またやりますから 観てみてね 最後泣けます Δも泣いた
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魂の容れ物深く眠ってた 長かった、でもようやくここまで
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キジトラとキジシロきょうだい 珍しくはないのだけれど うちの子いちばん(みんなそう)
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オノマトペ 朗読しつつ身につける 母国語は奥深きかな
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俺の子は いない。誰かの 子は産まれ 妬み、嫉妬で 人間失格
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叶わずの恋 思い出の 道に立つ もいちど君の 風になりたい
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君だって泣きそうだった足元に遺骨のようなカップの破片
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LINEにも心ふるわす糸があり君は見えずも伝わるなにか
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汗染みがすべてを覆うトレーナー すっかり九月も夏の季語です
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朝風の吹き込む家庭裁判所 昨夜の風は 昨夜の風だ
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夏のせいなんかではなく本当に 私はあなたのことが好きです
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卓上のパキア 葉脈をじっと見つめてごめんよ あと5分だけ
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禾すなはち登るが一銭五厘耐え難きを耐え忍び難きを
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「女の子らしくなさいね」カーテンのレースをなぞる手指は無骨
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ねこの飲むミルクの表面 波打って ちゃぷちゃぷちゃぷん 小さなさざ波
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昨夜キャベツ残っているのを忘れてて 卵、マヨ、ご飯、の使いきりチャーハン
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午後診の窓 日没が早まるを 励ましに代え もうひと頑張り
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八月が終われど 暑さは去らぬまま 皮膚科の長い夏は続く
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やれやれと持病有る身で夏を越し観測史上最も暑きを
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緑とか 日とか君とか 真夏って なんであんなに あざやかなんだ
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