雲を追ふ蜻蛉のめがねに映りしは水芭蕉さくの水の色かも
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灼熱のベンチで 水を流し込み summertimeサマータイムとジャニスを真似る
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誰からも誘われぬまま夏盛り浅瀬にころぶ花火の死体
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反射する君の眼の中に自分では見えない場所のほくろを見る
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梁の無いこのアパートの一室に 今日もが来る 明日もが来る
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梁からのピンと張られた荒縄のような人生送りたく思う
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好きな曲 好きなアニメ 遠く遠く離れずにいる冥王星
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散り敷ける額あぢさゐの星屑は青むらさきの夏の夢かな
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あからひく朝のよろこぶ窓辺にて七月ひとりまたもさてはて
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歌屑を飛花落葉に散らせつつ眺めてみたき雲錦の宵
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「感情は化学反応」と言いきった理科の先生が見せたはにかみ
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統語論シンタクス意味論セマンティクスを振りほどき 後ろを見るな言語姦覚
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意味もなく無色の緑の考えが猛烈に眠る ああチョムスキー
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「本日は埼玉県の終了です」空から落ちるペンギンの群れ
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針は0時 暗闇の中大雨にかき消されてく愛しいこの日
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一人では生きていけないからどうかあなたの針を私に刺して
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ああどうか無能な僕を愛してよ対価はきちんと支払うからさ
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仕舞い込み大事に抱え込んでてもくすみもしない夏の煌めき
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約束はまだ果たされず青林檎 ヨハネの首級しるしその味を問う
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大切な言葉は決して言わんからなーんてウソウソめっちゃ言うよ
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振りかぶりつつ来るバタ子さん ごらんこれがおまえのあたらしい顔よ
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人からの評価もらうの大変だ自分がいいと思っていれば
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夜車から流れるラジオって何かいいよね今がめちゃいい
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虚しきはただの一度も着けぬまま持ち去られたるシトロンの指輪
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苦しいの 儚い思い すれ違う 私の「好き」と あなたの「好き」
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おびただしい数のUFO押し寄せてあの夏あなたはお姉ちゃんになる
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半夏生 雨が降りだし少しずつ匂いの変わっていく駐車場
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生まれ変わったら白木の家具になりましょうそして窓辺で蛍を見ましょう
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知りすぎたアンゴルモアの七の月二十歳になれず死ぬ予定です
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証人が神の教えのチラシ持ち何も渡さずアパートを去る
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