手を挙げて招く芒の影よりも男心をそそる白はぎ
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玉響たまゆら黑紫くろむらさき白露しらつゆの おきて照り映ゆ けふのあした
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朝のもとが水平線の一点に吸い込まれて朝日となりぬ
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母の作るレンチン茄子を待ちながら お昼のカップ焼きそばを悩めり
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透明な時の流れの中にいて魚のように泳ぐきみ何?
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ひじきにて だいずみずにを きょうはいれ 小学校の︵四十年代︶ 給食定番
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君とよくチョコパフェ食べた古い喫茶店コロンビア 青春の欠片 またひとつ消え
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熱海駅 出てすぐ迷子か我が友よ 私は君らの保護者ではない
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ブルーチーズを齧って 苦い顔する前の君。 今では君も物好き。
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いざ出陣 ホームパーティー 初めてだ 社交力は フルパワーでね
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「なに川か?」 見知らぬ川だが 美しい。 詠むため問おう。 「なに川なのか?」
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車内放送 注意多過ぎ聞いてない 子への小言と同じと反省
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九十九の先を知らない子供らの九十九で時が止まる校庭
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飛行機の様に見えたかこの眼でも宇宙ステーション見逃す夜に
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珍しき 長月半ば 祭礼と 神輿担ぎを 大塚で見ん
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書物をば 積ん読にして 砦にす 五畳の書斎 わが祖国なり
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予定表 来週ちょっと慌し 珍し頼まれ事の(猫)シッター
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「頼るのも大事だよ」と言ふカフェオレ けれども頼りまくりのこの身が
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けさ見れば 雲閒くもまにけぶるひむかしの あけゆく空におほし朝日子あさひこ
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記憶にあるのは 静かな夏 真昼 君が初めて 笑ったあの日
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君とした貯金 玄関の子ブタは 腹をすかせて 君を待ってる
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「迷わない、君のためなら」 そう言った 乾いた写真 懐かしい人
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教会に行くにはちょこっと間に合わぬ 今日も賛美歌スマホで聴こう
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我が人生後悔残るはひとつだけ 貴方に会って謝りたいだけ
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嫁の実家山奥扱いする旦那 そりゃあ虫の音は聞こえるけれど
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君は今 どうして僕に 微笑んだ 早く聞かせて 恋を急かして
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朝一番旦那にラインし ねこたちの様子を聞けり もう会いたいな
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お仕事に行かない朝は静謐で本物の富がここにはある
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ため息をつく君 どこか哀しくて ブルーな恋に 染まっていたの
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うたよみの潜る廃坑つるはしとジーンズなどを売りさばきたい
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