お年玉いくつも手にして吾子の子は チラッとママ見る小さき眼
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驚きて次に悲しいこと起こり 家族皆して寡黙な初春
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大地震七十二時間の壁迫る 埋もれる人の無きこと祈る
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日常と言う幸せの奪われし 北陸の地に雨降らないで
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帰省して「おう」しか言わぬお互いに言葉不要になるのか父と
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夜毎よごと襲う不安をはらう温かな朝日にそっと指をからめる
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夕焼けを背負った雪が着地するばあちゃんからの手紙なのかも
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凄惨な能登の街並み次々と余震に怯える孫らを案ず
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極端に近視の僕は「戻ってこい」と太陽に向かって叫んでいた
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古びたしおりを除け 林達夫の随筆essayを読む  嘆息しつつ
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天井に忍ぶネズミよ今日だけは、朝までずっと足音鳴らせ
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募る不安弱音を吐けば糸伝い、「ここでみてる」と網の先から
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人生のハイライト載せたプロフィール 左スワイプ興味なし選択してされて 恋は生ものなのに、ばか。
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愛の実感なんてものほしければ幾度も砂時計さかさまにすれば
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元旦に震災思い出すなんて 止まらぬ揺れに神も仏も
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捨てられない思い出集めしがみつく女はとても荷物が多い
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だらしない怠け者では無いらしい汚部屋住人確固たる訳
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未来って明るいことしか見えぬよに 誰かに目隠しされてるような
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ほろ酔いの頬のまねしてほのあかく みかさの山に弓月のぼる
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願います 何事もなく 穏やかに 早く誰もが 眠れるように
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知る事は大事だけれど情報が苦しい時はそっと離れて
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一夜あけ凄惨なりし能登の町すべてに笑顔の生活たつきのありし
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呑気な短歌うたこんな時には詠むまいか こんな時だからあえて詠もうか
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あなたのさよなら飲み込んで ここから始まるあたしの人生
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これまで引いたおみくじの 大吉達を諦めたくない
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友の父君ふくん 無事と伝え聞き それだけは ささやかながら安堵となりぬ
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飲んでみても あまり気分も晴れなくて お風呂入って ねこと眠ろう
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まとひ振る消防団の掛け声と馬簾ばれんの音が淑気しゆくきかも
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人は消え灯りも消えて星わらう あんたらなんにも知らないくせに
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本来は恵みの雨と言うけれど 今日の能登には酷すぎる雨
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