運命の人があなたと思わない アミダが選んだ運はあるけど
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明けぬれど 冬のあしたに音なくて こほりけるさは細水ささみづ
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空冷えて 亡き父の声 きこゆかな 月見ゆるまま 汝があるままに
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大寒の陽射しはすでに春めいて雪掻きする手に額の汗たる
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今日もまた響きし歌を詠む人よ 友にして欲しもし会えたなら
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彼は言う。「殺し続けろ心などそのうちぐぅとも言わなくなる」と
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酔う父や にぎやかな母 弟妹ていまい2024にぜろによん 寒月の静寂しじま
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決めたこときちんとやろう デジタルの時計の真面目見習いなさい
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魂が触れあったとも思う人達ひと ランチに弾む言葉の愛し
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雪のに月は高くに上りたり 家々かすかに照らしておりぬ
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社会からはじき出されたような日も曲と曲の間広告は流れる
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ごめんなさい その日行けず の返信に「了解です」だけ 募る焦燥
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君までの最短距離を最速で 検索アプリあればいいのに
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ロスジェネは今はまからむ泣く子らもそれその母もいないけれども
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きみの目を てのひらで隠す 映るものすらわたしだけでいい
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朝恐く永遠の眠りを願えども死にたくはない心の矛盾
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現代の太宰を気取る君恋し 最期の女にしてくれないか
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完成しないディアゴスティーニ 幼少期 ハル 遠い思い出
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寒き日も 宇多田ヒカルのジャケットが かたしき夜も見ていてくれる
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男しかいない校舎で過ごしたる 街でじゃれつく ペア見て苦し
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革靴の汚れ厭うて霜柱避ける大人になってしまった
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ねぇ前もこんな感じじゃなかったっけ電車の中で出会えぬふたり
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その虫も会話くらいしているだろう お前に聞かせる気はないだけで
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古写真 上臈のごとき花魁のその眼の奥のかなしみ思う
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しらしらと降りくる雪を雪などと呼ぶ動物がその下にいる
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寒中の峠道行くドライバー思いがけずに皆セーフティ
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忘れ物 ついさっきまで あったのに 忘れた時の 記憶も忘れ
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妄信は何より楽し 寄りかかる誰かが欲しい神でなくとも
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蟻の巣を見るように見ている者が天上にいたとしても、ほっとけ
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私の部屋。私の匂い。私の孤独。ペットボトルがからころと鳴る。
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