丑三つの 道頓堀を 往く猫は 虚空を見つめる 河底の大佐カーネル・サンダース
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猫カフェに 無理やり連れて 行かれてね 違うオトコの 匂いが付いたの
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誰よりも 早くエアコン 点けるから 誰より近くへ おいでよキジトラ
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元彼の 猫に罪こそ 無けれども 何故に妬まむ 助手席の籠
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葉桜の 季節が来ても この心 どこかに君が いる気がしてる
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白猫よ どうして君は 逃げるのか 夜が明けたら 見えなくなるのに
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ごろごろと 喉を鳴らして 呼ぶからさ お金が無いのに イワシを買ってる
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四句切れば滅ぶ世界を救うため今こそ立ちあ「たかしご飯よ」
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肉球の 汗の匂いは 今もなほ コタツを見ると 思い出すんだ
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自転車に 載せた子猫が 震えてる せめてタオルが あれば良かった
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凪を待つ 瞳に映る 周防灘 港の猫の 目は檸檬色
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散る桜 子の命日の 近づきて 今は笑って 墓前に参り
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奥多摩の 鄙びた温泉 宿に住む 老いた丸猫 タマと懐けむ
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ほんとうは優しくもなんでもないあなたを花筏に突き落とす
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死ぬならば誰かに殺してもらいたい 殺した人の脳に憑くから
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あなたは夜の声にだけその耳をすましている 作り物なのに
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水たまり踏まれ汚され空を見て 雲の頃にはあそこに居たのに
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成果より損が気になり自責して 自分で自分を許してやれない
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花の雨 も少し枝に 美しき 儚い夢を 宿しておいて
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花びらを車体にまといユーミンの大音量が駆け抜けていく
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好きですと言えないままで終わる恋告白だけが恋じゃないのよ
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会いたいとただ会いたいと綴る文帰らぬ友の恋心知る
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一日の限定の初夏 白銀にかくれんぼするクロッカスたち
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照れ屋ゆえ貴方の返信いつもこれ 「大好きだよ!」「僕もおんなじ!」
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ハグをしてまた来るねって声かける 耳遠いけど聞こえた?父さん
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手を合わせ母さんごめんとつぶいた 涙あふれる実家立つ朝
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笑顔咲く 君を捕まえピンを刺し ガラスケースに入れて眺める
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未来より過去が大事で愛しくて 楽しみなのは走馬灯だけ
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僕なんて 君が主役のお話の 台詞も持たぬ 脇役だった
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庭先の 蜘蛛忙しき 春驟雨 その尻据える 場所をやりたい
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