会いたいと思える顔が浮かぶ夜 生き足りないなまだ死ねないな
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木曜日はココアがいいと胸に決め 手帳の予定白紙に戻し
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おばあちゃん階段降りるときママがうしろにいたら怖がるのなぜ
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これまでとこれから先を区切るという あまりに素敵栞の生涯
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霜の朝燻る紫煙に身を預け ビルの谷間の青空仰ぐ
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とめどない言葉の波が激しくて 頭の中で僕が溺れた
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喫煙と先入観とそれだけは 百害あって一利はないと
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詩の中何度も我を殺せども 結局生を離せずここに
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朝ラジオ住んだことある地名聴きシンクロさせる交通渋滞
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神ってる 朝四時からの糸通し四回通し四回通る
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ポイントで釣って紐付け絡み取る 国家戦略番号カード
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公園で秋を見つける孫を見に 孫見つからず孫に見つかり
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初めて名前を呼ばれた日は冷たくてでも熱い雨の日でした
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線路寝そべり 死までの数秒 考えたのは今日の晩御飯
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行ってまた上がって降りてまた上がるこのカナブンはこの轍にて
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自動ドア流れるトイレに玄関灯 きっと私は透明人間
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おほきみに命捧げし英雄ますらをの誉花咲く靖国の宮
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前の子が繭のまんまで死んだのでセックスすれば繭を身籠る
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この部屋の中つまりその街からは外なる場所に降る白い雨
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貯蓄庫がないから何も入らない 顔をぬぐってそれでぎりぎり
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幸せの形はどんなものだろう 花、猫、砂糖、視界にあなた
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遠い日に忘れ物した物語 流れる霧にぼんやり浮かぶ
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私明日学校に行かない貴方が乗る電車は遅延する
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柔らかい筋肉と キツい眼光と 若さだけが取り柄のあなた
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狭いボックス席で貪る中華と女の愚痴は同じ味
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心ない言葉を静かに黙殺す 来世はやさしい うたになりなよ
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半額のシールがそっと貼られてる男がいれば買わなかったの
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遊んでるお年寄りより若者に 働く者に優先席を!
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果たされぬ約束ばかりがここにある 大事に握って固まった指
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孤独とは不可分なのだ ならせめて君の孤独に指紋をつけたい
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