冷えきった 埃のような 風が吹く 一年振りの 雪の匂いだ
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冷たくて曇りの日暮れウエットに透過してゆく薄暮を歩む
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歌仲間夜に集いて年忘れクラフトビールは会を盛り上げ
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風にたえ雨にもたえて燃えた赤 油断したのか終のひとひら
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もう少し気楽にやればいいじゃない? 教えてくれた天使のささや
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ひっそりとシャッター切った推しの死を 怖くて未だ見返せずにいる
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りゅうちょうで じょうほうおおい てんきよほー あたまにのこらず BGMもききづらい(NHK)
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ねこを呼ぶ 聞いてないよで聞いている お耳ぴこぴこ しっぽゆらゆら
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咀嚼物 から魚骨だけ 探し出す その繊細さを 他に活かしたい
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スマートフォン眩い夜中目が冴えて朝焼け空に悔やむ平日
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あしひきの 山下水やましたみづ早川はやかはの へずしてなみたおぼ
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好きだって気持ちをそっとキミのに閉じ込めたんだ 夢で会おうね
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砂浜に愛の言葉が書いてあり流れるまではわたしのものとする
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日曜日幼馴染とゲーセンへ大きな青春金で買う
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できるなら 我の寿命を 与えたき 生まれず逝った 十六週の子
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君だけのことばを統べよ冠はその指先にもう触れている
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実像はいずれかひとつ偶然を王手をかけて収束させる
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健康マニア用心するも無意識に口にる糖反省会
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胎内の 小さき命 星になり ママの涙に 浮かんで光る
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咲き誇れ 花見て想う 尊さよ まるで翔び立つ 同胞はらからの如く
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休日出勤きゅうしゅつの今日の頑張りご褒美は 息子キミとのおしゃべり幸せタイム
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年末の挨拶に来た我の名を「あきちゃん」と呼ぶ老いた親方
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平凡な日々送れれば幸せと 分かってるけど人は欲張り
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やって来た冬将軍に手を振って おニューのコート袖通す朝
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ようやっと息子やつが風呂に行ったので 短歌うたの時間のはじまりはじまり…
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ゲーム好き息子キミの話しは機関銃 相槌あいづちうつが短歌うた考えている
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柊のギザギザ撫でて馳せてみるあの子の痛み少しくらいは
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よく訊けばどちらの言も一理あり 正義は一つ とは限るまい
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通り雨が作るぬかるみ水溜まり、乾くまで待つあのベンチ座し
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何気ない そんな暮らしの 悦びに 気付けとばかりに 昼寝する猫
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