あのゲートどうしてこの手の建物だけにそこはスルーだ自動ブレーキ
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ガラスペン 書くあてもなく 見入る夜 インクの蓋は 開かないままで
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写真撮る指をすべらせ録画五秒力が抜けた君はきれいで
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明けだした東の空が背中押す今日のプレゼンきっと成功
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夕焼けの橙色に照らされて遠くの山はさらにくっきり
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オークション 残り5分が 勝負時 競り落とさんと 飛び散る火花
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靴擦れに湯がしみなくて ホッとする トータル3日も 慣れぬブーツで
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わが町の七夕祭りわたあめも金魚すくいも鮮明な過去
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突然に 火蓋を切った 介護道 スタートダッシュで 既に息切れ
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ただ、きみが笑っているとムカついて冷たくされるとかなしい、だけだ
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サヨウナラ 区切る心 前を向き 捨てる思い出 新たなページ
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恋と呼ぶには曖昧でわからずに 頭を撫でる君の右手は
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すれ違う柔軟剤の香りだけであなたを思い出す
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米櫃の残量を見て何合か分かるようになったねお互い
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叩かれたら痛いと知っているからだこの暴力が自分に向くのは
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もう少ししたら薬が効いてくる あの子の声も聞こえなくなる
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地図指して「いい空気」って意味らしいブエノス・アイレス 君の笑顔
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元気だけ取り柄の明るい主人公だけじゃ世界は成り立たないよ
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ご主人は早く帰れと願ってる 我が家の猫は傘をもたない
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教室のまんなかにいたあの娘らもひらく独りの反省会を
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ふわふわの君のとなりに横たわるあまくとろけるパンケーキの香
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にわか雨 僕の傘に居る知らぬ娘が 可愛く見えて仕方なかった
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別離への餞たればいちまいの債務証書をきみに送らん
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咲きむる「初光山茶花」紅あわし初冬晴れの日はなやぐ思い
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古タオル切って畳んで雑巾に ミシンで直線ダダダは快感
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小菓子プティフール 意外と美味なるビスコッティ 見た目は全然地味なんだけど
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風つめた 帰って手洗いうがいして 生姜茶でお腹あっためるべし
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赤とピンク 薔薇のツリーが華やかで ビュッフェの前に目の保養かな
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手を濡らす水道水が冷たくて冬来たことに気づき二度寝す
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古帽のなかにて眠る猫いまだ勝ち得ぬことを慰みしかな
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