八月は透明な青と口にする花と木くぐる風に吹かれて
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八月は虫の音色がかわりだす幾万年の星の夜の下
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イヤホンは寝歌ねうた聞かせる人の無い私の側でずっとやさしい
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揺すっても声をかけても応じない娘は「花火」で応答がきた
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見る人に考えさせる詩なんて時代遅れで優しくないよ
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夢の中でしか会えない君の眩しさったらありゃしないね
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「独りでも活躍できる」見栄ばかり張るから独活の大木となる
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来世はもっと上手くやりたいが 今世が来世の場合、積む
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「頑張った」「まだ頑張れる」「もういいや」どれも正しくどれも間違い
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あれ以来 「僕は見たんだ完全な虹を」と思い続けています
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この場所にこのブランコをこう立てた職人さんへ 絶景ですね
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千万の饒舌よりもマスターの温顔しみるラストオーダー
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そういえばゲリラ豪雨があったっけ 濡れたハンガー全てを悟る
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最期まであなたを信じていましたよ 二度と戻らぬ熾火を思う/鎌倉殿 足固め
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たまにね 思い出してるよ その時天国に 花が降るらしいじゃん
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あの人は今日も居るかとドア開けてさがしてるよな「うたかた」の場所
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いつもより五倍の値段のシュウマイを食してみたが違い分からじ/楽陽食品派
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月末に期限が迫るポイントを知らす店員嗚呼ありがたきや
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いまはもうえん所縁ゆかりもないけれど いつかあなたに、また会えますか
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なぜだろうクールな私 母親の介護の時は赤ちゃんコトバ(笑)
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曾祖母がいちじくを好きだったことふと思いだすいつもこの時期
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それぞれの歌の向こうに人がいる知らないけれど知っている気が
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手探りで 踵に刺さった毛は抜けた こころのトゲも抜けてくれたら
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少しだけ一緒に待とう、夜明けまで 日が昇ってもまだ夜とする
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怖がって何もできなくなっていた おせち料理のチラシに苦笑
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誕生日 今日ですべてを終わらせる覚悟が揺らすあおいロウソク
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苦いけど程よく甘いけど辛いそれを我らは恋と呼ぶのか
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あんなにも 欲しかったのに 手に入れた 瞬間しゅんかんだけで 案外普通あんがいふつう
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酒呑まれ いつにも増して 大胆に 近付く君の 窄む唇
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艶のある 君の八重歯が はにかむと 覗くその度 僕もにやける
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