晩秋に木の葉時雨は降り止まず園児のポケット落ち葉の入れ物
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喫茶店 落ち葉降り落つ窓外そうがいを 見をれば冷めし舌焼くコーヒー
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市民展 友の切り絵の見当たらず 老々介護の苦悩を見たり
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風に乗り学校チャイムの聞こへ来る の一限目家庭科実習
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旅戻り早速干しいも作業する無事に感謝し日常始むる
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大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
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うたかたの句ごとに深き物語窓に雪あり心温か
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夕暮れの茜の色の残照に孤高に光る冬の三日月
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程々の緩さを秘めて仕事する真面目なあの娘に伝えられたら
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来月で介護3年目に突入 少しはわたし役立ってるかな
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休日は人に蘇る日である卵ご飯を音立てて食う
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山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
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小春日の軒に吊るせる干し柿を揉めばやはらに秋を包みぬ
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夕暮れの イチョウ並木に 沈む陽が 優しさに満ち 祈りたくなる
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愚痴の根の深きに伸びる裏庭の日陰の草と馴染む秋の日
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白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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石蕗の笑顔に押され病院の門をくぐりぬ抗癌の朝
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出来るだけうつさぬようにと籠る部屋 ちょいちょい覗く夫は子のごと /風邪
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忘れ花 凍蝶とまりて動かずや 越冬できらば 春野飛びゆけ
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富士山を習ひて高き山型に ざる菊昇る秋の蒼空
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寅の刻 感謝知らずの 血筋だと 夢に起こされ ぢっと耳澄ます
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はつらつと若きスタッフ心地良く週一なれど心が弾む
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聞き慣れた朝のアナウンサーの声 今朝は鼻声 流行りをる風邪
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風もなく 小春日和続く 初冬しょとう だ秋でいてくれる霜月
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石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
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待っててと たった4文字 伝えてよ 君はいつでも ひと言足りない
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寮跡の敷地にも 木枯しの吹く 枯れ草の中 咲きをる野菊
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庭園の 水面を泳ぐ水鳥の 広がる波紋初冬知らせをり 
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半分の 月が私に お似合いと 満月ほどに 完璧でなく
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私以外気づいていない窓外の木にやってくる多様な野鳥/職場
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