ユーミンの歌詞が優しく飛んでゆく冬と春との間の空に
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絶景の桜にかぶせしキャッチコピー駅構内で春につかまる
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図書館であれこれ迷ふも手の 中に毎回似たよな健康本あり
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夫逝きて三年みとせ目の春紅梅の咲きて嬉しや命の満ちる
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手放して出来た隙間を覗いたら見え隠れする大切なもの
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贅沢と車所有を禁じられ移動手段がタクシーな矛盾
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それぞれの背負ふ荷物の重たさを触れずに終わる今日の女子会
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立春を十日過ぎても真冬日の桜もちだけ唯一の春
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ほとりじっと鳥待つカメラマン無音の時をひととき享受す
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冬日差 葉牡丹凛と葉を広げ色鮮やかに道を彩る
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十七の君に渡したチョコレート パッケージ褪せアルバムにあり
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ふるふると揺らされ具合いを伺ってカラメル伝う小皿にスプーン
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婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
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白い蕎麦、人見知り猫、冷の酒。僕を愛する準備はできる
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ラブラブのハスキー二匹を唸る犬 恋の火花を春が覗けり
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透きとおる 若葉が灯す きさらぎの まだ雪のこる うたかたの道  / welcome
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退社後のバス停 濡れたアスファルト ベンチのしずく 通り雨の跡
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風抜ける小高き丘に登り来て観光地となりし農村眺むる
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手の甲に鉛筆芯の黒き点 君のくれたり暮れの学び舎
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スーパーで 五百円するあまおうを エイヤッ!と買い 自分にご褒美
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きらきらと春呼び寄せる陽光にスカートの裾ひらりと揺れる
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咲き初めし梅に白雪降り積もり溶けて色艶失せし姥梅うばうめ
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桃色の 花を飾りて 春が来る 長き冬の日 忘れるほどに
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柿の実を啄む鳥と睦月去りからす一羽の裸木の空
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ピーポーが半音下がり通過して見知らぬ人の非常時を知る
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如月の 摂氏十度を 超へる昼 上衣の要らぬ 心地き冬
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雪の宵 休みの園に影ふたり だるまに捏ねる保育士の汗
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今もなお時を刻めり腕時計 手にとる朝に早春の風
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煮詰まった 頭を冷やし 屋上で 朝焼見つめ 深呼吸する
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満開の山茶花並木はべに燦燦 冬のフィナーレ飾る如くに
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