七十路の 惰眠貪る夏の午後 馬齢を重ね今日も草を引く
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背中から伸びゆく影が重なって『月がきれい』も要らないくらい
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地下鉄の ホームに並ぶ おじさんに 敬意を抱く 新卒の夏
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真夏日に スプリンクラーの おこぼれに 預からんとて 道のに寄る
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施設にて 小さくなりし我が母は 負の記憶越え ただいとおしく
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猫を飼う 巡りあいからその日まで 命を預けあうようにして
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もしいつか五感を失う日が来たら最後は晴れた芝を踏みたい
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右向けば つむじの見える 総武線  入道雲から プールの匂い
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「お魚ととうもろこしのジュースです」お店ごっこの君と乾杯 /吾子三歳
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ひび割れて伝う路上に濃緑こみどりの苔は日に日に日に焼かれつつ
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クッキーの缶に入った大量のクリップの中に埋もれた本音
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昼休み コーヒー飲みつつうたた寝し ふと目を覚まし はてここは何処
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この雨がマーガレットの花びらになるよな奇跡 君の短歌は
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朝夕に囀る小鳥も日照りの真昼は黙して鳴かず
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似たような家族がそこにゐたはずで日常だつたイオンの二階
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日常の 生活自体 当たり前 と過ごせる日々が とても特別
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誕生日迎える息子遠くよりハッピーバースデー送る父かな
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街角の展示ケースに霊長目ヒト科ヒト属ホモ・キツエンス
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逢ひ引きは銀座のカフエーに致しませう 青き書生を女は誘ふ
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特別なことはなにもしなくていい 隣の芝は違わぬ青さよ
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壊れかけ 20年間現役の 冷蔵庫様 終わりが近づく
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入道が 降らせたろかと ハラ鳴らし 色とりどりの 傘が馳走ぞ
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宵の風 熱さは抜けて 草の上 何も気にせず ごはん待つ猫
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おにぎりとサンドイッチを買ったのにからあげクンと見つめ合う夜
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暑くって後回しにした宿題よ大人の仕事はそうともいかぬ
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寂しさに身を震えつつ立つ人の後ろ姿のコートの襟か
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離れじとかたみに交わせど移ろひぬ忘れられぬは泡沫の夢
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好きだから 嘘をついた と言う嘘を 俺は信じる 俺も嘘つき
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昼頃に 眠る老犬 すやすやと 動かぬ君が 妙にこわくて
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無事ですかその一言が送れない 届かぬ返事を先に怖れて
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