Utakata
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楽しみは 妻が作りし白茄子の とろりと溶ける煮浸し一皿
18
死をいまだ了さぬ姪は覗き込み「じいちゃん寝てる」と笑顔で言えり
12
夏山に今し過ぎぬる夕立の雲より高き蝉の
諸声
(
もろごゑ
)
11
炎天に低く
読経
(
どきょう
)
す虚無僧と
燕
(
つばくろ
)
覗く駅舎の
庇
(
ひさし
)
23
蝉時雨 父の病室 手に残るノブの冷たさ 扉の重み
22
語らひて食べるは楽しと言ふ義父を またもひとりの部屋へ送りぬ
19
姉だから妹のため我慢する役割背負う三歳の肩
13
願いつつ あきらめつつも 手をあわせ 神仏さまに たくす我が身よ
9
買い物に日が暮れてから行ったとて蒸し暑い道すいてない店
8
厳島
(
いつくしま
)
驕
(
おご
)
りて去りし波のごと
平家
(
へいけ
)
の跡に人は酔ひつつ
7
熱中症 予防に梅干しの種ひとつ コップの底に沈めて置きたり
8
野球には まぜて貰えぬ 弟を 見てくちびるを 噛んだ冬の日
9
駆け込んで空いててよかった助かった 駅のトイレに神様は居る
16
朝八時 背中にじりじり 日差しを 感じながら 洗濯物干す
8
スーパーの割引日だから冷蔵庫
急
(
せ
)
かして作る遅い朝食
8
僕なんか何もしてない 謙遜で言ったつもりがまさかのスルー
8
不器用な兄が差し出す海老フライ 何も言えずにレモンを絞る
6
歌の会次々欠けてこの葉月仕舞と決まる秋風のふく
9
片付けが出来ずに踏んだ洗濯物 過ごした跡を消せないままで
5
我が命洗濯よりも終わりたい目覚めぬ朝が来るのはいつか
5
ハリガネの剣先なんぞ ものとせず エサを届ける 鳩の風羽
5
一人来て また一人去り この世界 まるで学校 学んで帰る
5
クレープのキッチンカーの座席から手を振る双子の夏の精たち
5
手のひらに 何もないのと 嘆く君 空っぽだから 何でも掴める
6
言語化の このごろ流行る 世にありて
端
(
はな
)
より忘却 ことの
端
(
は
)
なるを
5
何釣るの? 集う野球帽
庇
(
つば
)
寄せて 青き風吹く 少年の川
8
一発のどデカい夏をぶち上げる厚みを増したHOT LIMIT/『THE FIRST TAKE』より
7
右肩のタトゥーが汗で光ってる 獣になって吠えたい夕べ
6
冒頭のノイズで黙る会議室 統合されないMeetのマイク
7
触れるるを 躊躇う指先 ベルベット 混ざりし息と 動かぬ時計
6
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