Utakata
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まな板にのせたきゅうりを叩き割る初夏の香りがひろがる夕べ
19
それもまた いまの自分と 思えたら ふるえる手のひら それさえも良し
17
病み上がり 外の空気の 清しさよ 笑えて嬉し 食事もうまい
20
運転手どうし片手を上げ合って若葉のなかをすれ違うバス
23
少しずつ 移ろいゆくのが この国の 季節であった
暫
(
しば
)
し前まで
15
紫陽花や 雨降る
社
(
やしろ
)
手水場に ふたつ並んで 雨を見ている
14
シングルのシーツの上をまた泳ぐ 冷たい海を探す寝返り
13
国民
(
くにたみ
)
の 安寧願ふ
政
(
まつりごと
)
国難の今真価が問はれ
19
くちづけの後も敬語を続ければ あなたの森で迷わずに済む
14
登校の 門限間際 気にもせず ひよこの如き 一年の群れ
16
ききららのさいふをひらきおままごと たんぽぽ ぼたん これくださいな
15
服・寝具仕様を替えて奥の手をもう探してる夏の序章に
19
パンのにおい商店街に漂う暑くなければ散歩したいのに
9
これからは肝に銘じる親父たち「泣く子と児相には勝てぬ」由
16
グミの実を久方ぶりに口にしてノスタルジアは初夏の赤い実
12
「
詩
(
うた
)
を詠む」・・・いつもは素通りする道に生えたタンポポ見つける作業
13
苦手なる香り発する
(
気に食わぬ匂いしやがる
)
柔軟剤安売りせしがただ恨めしく
9
久々に手に取る雑誌の金額を見て棚もどす 印刷が死ぬ
8
影かたち何もないもの抱いている神か形見かそういうものを
14
通勤車輌9割ほどが男性で 本質的に変わらぬ日本
20
花菖蒲 水面に映る 群青の 姿重ねて 君おもう朝
7
子育ての難しさ知るニュースあり不幸か幸か独り身の吾
8
おふとんはちいさな教会 祈りとか懺悔みたいだきみの寝息は
9
離婚して出てった親父がくれたもの 覚えやすくてややレアな姓
6
芝刈りの後に小鳥ら舞い降りて夏の香りを一緒にかごう
10
片付けて キレイにするが そのあとの きれいに保つ ことだけ難し
5
エアコンを付けるべきか
(
電気代かさばるから
)
と悩む母 頼むからマジ付けてくれすぐ
5
行く鳥の人馴れもせで安らかに生き死ぬる世にありこせぬかも
6
片づけた面倒事のすぐそばで 次の面倒 芽を出していた
5
五月雨の乱層雲をカッターで切り裂くような
雅各
(
ヤコブ
)
の梯子
7
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