Utakata
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いつか来る別れを知らぬ顔をして みそ汁の湯気に家族は和む
55
「だめな僕」という付箋を貼りすぎて心は糊でベタついている
44
赤き実の光りし庭の万両を啄む鳥と睦月が去りぬ
41
アルバムを
捲
(
めく
)
りて若き吾に問ふ 夢見た未来獲得出来たか
39
きさらぎの 神に捧げる
榊
(
さかき
)
には 新芽がのびて 雪のふる春
39
葉の奥に過日降りたる雪残り単色ビオラに一色足したり
39
いつもなら隠さず物言う賢人の言わぬ本音に優しさを見る
39
街宣の車さえ見ぬ過疎の町 真冬日静かに夕映え
美
(
は
)
しき
38
スノームーン最初に呼んだ人の名を知りたくなった二月の満月
38
プラマイがゼロになるよう神様が 与えてくれた私の余生
43
優しさを 持ち合わせたる 君の目に 映る未来を 共に生きたし
37
春近し ぬかるむ畑に空豆の 蒼き芽吹きが愛おしきなり
37
切り捨てて 痛まぬ心の鈍感を 冷静と呼び 鬼もこごえる
37
オレンジに熟すクチナシゆらゆらと枝葉の揺れる風冷えの午後
36
雪にさす
朝陽
(
あさひ
)
の色は 生成り色 忘却の
彼方
(
かなた
)
竹を編む人
36
同じこと今夜も話す受話器越し 祖父はただ今二巡目生きる
36
へこんでた 友が笑ってくれたから 昨日の失敗 しといてよかった
36
ゆうゆうと冬田の空を旋回すトンビ眺めて通院の道
36
月一度四季にて色変ふ山走り村里に湧く清水汲み来し
36
カッタタタ大樹を叩くコゲラ来て静寂の底に立春の音
36
抱きあうはなくなりしこの年月を越えて息子の目はあたたかし
35
冬の夜は甘酒ミルクに和みたり良く眠れるの魔法信じつ
35
ひい孫が補助輪外しあぶなげに自転車練習冬の公園
35
やわらかく煮える卵に託すなり ごめんと言えぬ私の愛を
35
やっぱりね住めば都だ 片付けを終えて眺める新しい土地
35
終電を逃す友連れ 山茶花の散りぬ小径を
夜半
(
よわ
)
家路に就く
34
幼子がいない我が家の節分は鬼豆抜きの手巻き寿司なり
34
群青の
宙
(
そら
)
の
雪洞
(
ぼんぼり
)
月あかり 描く吾の影 「まっくろくろすけ」
34
でん六に赤塚不二夫の鬼の面定番だった私の昭和
34
最期まで ごはんを炊いて 味噌汁を つくって食べる 老いさらばえても
/
立春の朝
34
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