「帰りたい」「元気になって」「またいつか」想いにしなる 病院の笹
25
紫陽花は内緒話をしてるみたい ちいさないのち 寄り集まって
16
法事終え位牌が戻る仏壇に幾すぢもの香煙ゆらめく
14
この葉月七十プラチナ婚の祝いどき九十なかばに揃って元気
15
梅雨空に 晴耕雨読と洒落込めど 野菜農家は生業成らぬ 
26
養蚕業 廃れ人の手 離れたる 桑が大樹と なりて実を付く
15
棚上に置きたるままのあの心 降ろして愛でる 暇もなきかな
11
思い出を多く作れと言いし母 思い出話すべて忘れて
15
名前さえ 知らずに友と なれる今 時代の流れに とまどいながら
20
正しさを求め続けて夏になる 二者面談のイスの冷たさ
12
降る雨を甘露と受けてアマガエル蓮のうてなに済まし顔だね
11
五月闇 湿気にたわむ 障子には はしゃいだ雨の 声が染み込む
19
大雨や 地震の度に 改めて やはり自然は 強くて怖い
8
鈍痛を思考放棄の言い訳に 明日の不安からそっと目逸らす
11
帰りたい もう疲れたな 帰りたい 家に居るけど まだ帰りたい
17
シームレス・ストレスレスの製品で縫い目だらけのからだをつつむ
7
二千首の正直ならむ いまさらの無碍にはできぬ 朝のすがしき
15
詩なんて読む暇ないほど大学は目まぐるしすぎる日常だったね
7
こんなにも あなたの愛を 受けていて 嬉しいはずが 心苦しい
7
ぬかるんだ浜辺を貝殻を拾いながら歩く人に出会える梅雨だ
6
裏庭で雪いだはずの赤子泣く 眠れ眠れよ水となるまで
6
傘を持ち散歩に出てて雨降られ足元は濡れ吾も引き分け
6
朝五時にバチャバチャ暴れるうちの亀 ごはんをくれよ水を換えろと
18
ドカ盛りの追いチーズきみは正義たれ 悲しみも覆うハイカロリーたれ
6
殺人を止められなかった探偵が 答え合わせという名の言い訳
6
ガガンボがデカいホコリつけバサバサと 細っこいのに体力あるなぁ
8
走り屋を未だにやってる友達の だあれもいない心霊スポット
6
出る時は 水で浴室 流してる キミと暮らして ひとつ覚えた
6
ポケットのレシートふたつの「オムライス」きみがスプーンを持つ手のかたち
16
そよ風を 浴びつつ帰る 道のりが 長く感じる 夏のひと時
5