Utakata
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蝉時雨 父の病室 手に残るノブの冷たさ 扉の重み
19
炎天に低く
読経
(
どきょう
)
す虚無僧と
燕
(
つばくろ
)
覗く駅舎の
庇
(
ひさし
)
20
楽しみは 妻が作りし白茄子の とろりと溶ける煮浸し一皿
14
語らひて食べるは楽しと言ふ義父を またもひとりの部屋へ送りぬ
18
夏山に今し過ぎぬる夕立の雲より高き蝉の
諸声
(
もろごゑ
)
10
姉だから妹のため我慢する役割背負う三歳の肩
12
墓前にて 腰まで茂る 夏草の その強き根は 祖母より継ぐや
13
堂内墓 外暑すぎて お参り後 冷たい麦茶 喉にしみこむ
10
冒頭のノイズで黙る会議室 統合されないMeetのマイク
7
厳島
(
いつくしま
)
驕
(
おご
)
りて去りし波のごと
平家
(
へいけ
)
の跡に人は酔ひつつ
7
願いつつ あきらめつつも 手をあわせ 神仏さまに たくす我が身よ
7
死をいまだ了さぬ姪は覗き込み「じいちゃん寝てる」と笑顔で言えり
7
コスモス
(
〝宇宙等〟
)
は
何処
(
どこ
)
にでもあり陽炎の跨線橋から見る隣町
9
同窓会 有った事実を 知ったのは 最後の
級友
(
とも
)
の 通夜の時なり
6
買い物に日が暮れてから行ったとて蒸し暑い道すいてない店
6
触れるるを 躊躇う指先 ベルベット 混ざりし息と 動かぬ時計
6
駆け込んで空いててよかった助かった 駅のトイレに神様は居る
14
歌の会次々欠けてこの葉月仕舞と決まる秋風のふく
9
死神と貧乏神は隅にゐて年金支給日けふも越えたり
8
一発のどデカい夏をぶち上げる厚みを増したHOT LIMIT/『THE FIRST TAKE』より
7
おしろいの花の香りに惑わされあやうく死ぬる車道の端で
5
目が合って、ハンドサインで (また明日) のぼり電車が 先に着いたね。
5
右肩のタトゥーが汗で光ってる 獣になって吠えたい夕べ
5
君の手を離さないためだけに買う 入場券という名の切符
5
片付けが出来ずに踏んだ洗濯物 過ごした跡を消せないままで
5
我が命洗濯よりも終わりたい目覚めぬ朝が来るのはいつか
5
ハリガネの剣先なんぞ ものとせず エサを届ける 鳩の風羽
5
スーパーの割引日だから冷蔵庫
急
(
せ
)
かして作る遅い朝食
5
掃除せば珈琲豆とカリカリと錠剤の出る隅と隙間と/台所
20
何釣るの? 集う野球帽
庇
(
つば
)
寄せて 青き風吹く 少年の川
8
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