Utakata
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光増す毎に緑陰濃くなりて葡萄畑の
蔓
(
つる
)
伸びてゆく
22
この生のすべての夏を束にしてリボンをかけて君にあげたい
16
息つぎの仕方を忘れていた日々の服を静かに脱ぎすてる午後
22
我が里の
児童
(
こら
)
が通いし通学路 熊鈴の音風鈴に似て
26
澄む水に透けてゆらめく砂色のほのかになびく雲は滑らか
12
原っぱと空き地の区別つかぬまま靴をぬいでる段ボールの基地
21
レモンティー
900
ml
(
ミリ
)
の 紙パック 母の思い出 聞きながら飲む
11
右手から葉っぱが弾ける音がして静けさを知る雨のベランダ
11
たまにはと階段上れば心臓が運動不足の警鐘鳴らす
11
爺ちゃんと孫の二人がカフェに来て会話やりとり可愛すぎるよ
12
チリチリと頭の裏を伝う恋行き場無くして地に垂れ落ちる
11
秋風の渡る
高天
(
たかあま
)
裂くごとく鷹は
下
(
くだ
)
りて鳶を追ひ詰む
9
携帯扇手に取りスイッチ押してみる 去年の夏の電気が動く
18
母になり ライブハウスはほど遠く でも風や木が 微笑んでくる
9
健診で 歳を言われてハッとする 他人に言われて 事実再認
21
冷房をつけてる部屋の片隅にまだヒーターが鎮座している
17
亜麻色がなにかも知らぬまま父の膝で見るたなびく亜麻色
8
みぞおちを
抉
(
えぐ
)
る思いを 一行に 閉じ込める術 言の葉すり抜け
14
願はくば 優しく撫づる
御手
(
みて
)
を
以
(
も
)
て 留めおかなむ 有明の月
11
ゆめをみる ご飯を食べる 空を見る 革靴を履く もうすこしなく
8
ほんたうのペアのグラスはすぐに割れかたわれづつを冷やす再婚
9
私には あなたを壊す 勇気なく 壊してきた過去の人らが
7
陽だまりの 丘に寝そべり 微睡みて 柔き口づけ 許したる午後
7
僕たちが 星座で例えられるのなら 君はこと座で 僕はいるか座
7
小糠雨肌にまつわる湿り気に 今年初めて扇子を開く
20
職人の誇りがひどく傷ついてチカン冤罪に激怒する
掏摸
(
すり
)
16
生い茂り 何を守るか 草木たち 誰も知らない 廃屋の声
15
降りにけり五月雨近み定めなく晴れむと見えてかきくらす空
9
持たされし院内
PHS
(
ピッチ
)
が外来のナースの声で「準備ができた」と
7
五月雨の 涼風すでに 心地よし 思いやらるる 風情なき夏
11
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