Utakata
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野垂れ死ぬような気がしていた父に 存外友が、いるのを知る夜
20
父の撮る母はいつでも笑ってて誰が笑わせてるかも分かる
15
山間の 路傍に咲きし鬼百合の 孤高の姿凛と立ちをり
22
逝く友も生きる私もあはれなる残暑厳しいことだけ確か
16
寅さんの「それを言っちゃあおしまいよ」聞いて頷く我も俗人
14
朝顔の 葉の艶めきは 夜露かな やさしく撫でて 産毛に触れる
11
踏切で群れる鳩へと警笛を鳴らせば教官わたしを𠮟る
10
心地よい実家で過ごした代償がデジタル表示体重計
14
北国は 早いんだよな コマーシャル 毎年思う もう冬タイヤ?
8
夏はまだここにいるよ、と雲が言う どこにも行けない私のために
12
みーんみんから変わってる蝉の声 ツクツクボウシ秋を告げるや
7
よろこんでいいのか米価たつぷりと用水路には真水ながれる
7
軒下にスズランテープを巻き込みし洒落た
玄鳥
(
つばめ
)
の巣に雛が鳴く
9
友が言う「かき氷機を買ったから一緒に作ろう」小一の夏
8
一夏を 詰め込み遊ぶ 故郷の 静かな海に 映る島影
9
煎りじゃこの
八百
(
やお
)
の
眼
(
まなこ
)
に睨まれど 平然としてご飯にのせる
25
去年まで何があったか
1
ミリも思い出せない更地がひとつ
13
苦しさも悩みも持たず生きるフリ そんな大人のつま先を見た
12
敗因はあなたが植えた夕顔の蔓がこの胸に絡まったから
6
仏塔の相輪かすめ秋つばめ 甍の波を遠く見下ろす
6
子宮脱にペッサリー入れ具合問ひ患者の笑顔に安堵してをり
5
両の手にいちじく受けてたらたらと盛り過ぎつつある夏啜る
6
今言った言葉が消えてゆくように淋しい夏の喫茶店ポー
7
流れ行く雲を見上げる猫の鬚かすかに揺れて秋風が吹く
29
下車駅に着いてしまうわもう二度と逢えないだろうあなたが横に
11
かげの濃さ緑の深さ花々の色鮮やかさ目を刺すきせつ
9
幼き日火の扱いを覚えたる蚊取り線香煙と消えて
7
いつの日か私が貴方を忘れたら 殺してください もちろん貴方が
4
今ちょうど片足出せば肉塊になれると思うAM8時
5
ふたまわり もう巻けないね絆創膏 母の手のひら逃げ出す指よ
4
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