虫食いの あとは涙の かたちして くもり空にも 朝顔は咲く
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縁側で 水出し緑茶 に添えられた 水まんじゅうで 涼を重ねる
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お惣菜 半額シールの栗ご飯 思わぬところで秋を先取り
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風景の然程さほど変はらぬバス停も 風の温度で 変はりゆく秋
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長月は風流気取りて詠みたしや秋の七草探し歩きつ
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成長に 感謝しながら 処分する 吾子の机を 運びし朝に
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味噌汁の 鍋かき混ぜて ン十年 ここが宇宙の はじまりなのか / ビックバン
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目覚む未明 吾が十代に寝し刻よ 亡父の小言の 早よ寝よ懐かし
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歩道橋登らば汗の滴りて高き空にも秋は未だ来ず
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アボカドの水耕の種変化無く夏の絵日記白きままなり
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菜園の 見た目の悪き夏野菜 猛暑に耐へて愛しさ募る 
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信号待ち木陰にらば少しだけ秋の顔した風のそよ吹く
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八月もすえとため息つく人に秋風やさしく吹きますように
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ぼんやりと朱に染まりたる三日月に秋は何処いずこと尋ねてみたし
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エアコンを切らば朝まで虫の声こうして秋は日々近づきぬ
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公園の木陰のベンチに赤き葉のふたつを伴に秋を思ひぬ
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花がらを摘みて供養す朝顔や一日ひとひのいのちけふを充ちをり
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ゴミの日にボロいわたしのぬいぐるみ涙流して背負って帰る
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朝顔の萎れし花を摘む朝に蝶舞うごとし夢のきのうは
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打ち寄せる夏の波際引いてゆく初採りかぼちゃにみちくさの秋
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涼しげな 小鉢に盛られた 素麺を 脇で彩る 夏野菜達
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庭隅のチョコレートコスモス地味なりて秋の風情に合うと慰む
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この夏も仕舞いの市民プールからふわり飛び立つシオカラトンボ
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庭プール夏日を浴びるカッパの子 水鉄砲で戦う平和
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そういえば空を見上げていなかった 塞ぐ気持ちよ明るくな〜れ
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秋がハロー夏がさよなら行き逢いの夕べにきらり浮かぶ三日月
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日焼けした 赤銅色の腕見つめ 汗を拭いてもうひと頑張り 
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夏季プール 終わりの時が 近づいて 水面を通る 風は秋色
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亡き父の生れし小島や瀬戸の海茜に染めて日は沈みいく
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涼求めくすのきの下見上げれば繁る木の間にまほろばの蒼
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