喫茶店 落ち葉降り落つ窓外そうがいを 見をれば冷めし舌焼くコーヒー
42
市民展 友の切り絵の見当たらず 老々介護の苦悩を見たり
42
風に乗り学校チャイムの聞こへ来る の一限目家庭科実習
40
うたかたの句ごとに深き物語窓に雪あり心温か
38
大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
37
小春日の軒に吊るせる干し柿を揉めばやはらに秋を包みぬ
37
休日は人に蘇る日である卵ご飯を音立てて食う
36
山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
36
忘れ花 凍蝶とまりて動かずや 越冬できらば 春野飛びゆけ
36
夕暮れの イチョウ並木に 沈む陽が 優しさに満ち 祈りたくなる
35
愚痴の根の深きに伸びる裏庭の日陰の草と馴染む秋の日
35
寅の刻 感謝知らずの 血筋だと 夢に起こされ ぢっと耳澄ます
34
白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
34
石蕗の笑顔に押され病院の門をくぐりぬ抗癌の朝
34
出来るだけうつさぬようにと籠る部屋 ちょいちょい覗く夫は子のごと /風邪
34
不登校くさって部屋で泣いてたら父が差し出す少年ジャンプ/思い出
34
半分の 月が私に お似合いと 満月ほどに 完璧でなく
33
陽射し浴び 窓辺に見える パンジーの 花に水滴 輝きを増す
33
風もなく 小春日和続く 初冬しょとう だ秋でいてくれる霜月
32
石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
32
週明けて全快とまで言えぬ身に慈悲深きかな師走の陽光 /20
32
寮跡の敷地にも 木枯しの吹く 枯れ草の中 咲きをる野菊
31
庭園の 水面を泳ぐ水鳥の 広がる波紋初冬知らせをり 
31
道なりにお進み下さい目的地まだ見えません人生なので
31
段々と 熟し始める 檸檬の実 寒風の中 元気な黄色
31
控え目に 片隅に咲く 秋の薔薇 みなぎる赤色 パワー受け取る
31
私以外気づいていない窓外の木にやってくる多様な野鳥/職場
31
山茶花を覆ふ枯葉の隙間から 顔だす一輪かくれんぼの笑み
31
ランクひとつ落としてみよう思案して手に取る米の五㌔が重い
30
なぜ我を産んだと母に責めた後赤子にもどる母を子守て
30