Utakata
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楽しみは 妻が作りし白茄子の とろりと溶ける煮浸し一皿
21
死をいまだ了さぬ姪は覗き込み「じいちゃん寝てる」と笑顔で言えり
12
夏山に今し過ぎぬる夕立の雲より高き蝉の
諸声
(
もろごゑ
)
11
炎天に低く
読経
(
どきょう
)
す虚無僧と
燕
(
つばくろ
)
覗く駅舎の
庇
(
ひさし
)
24
蝉時雨 父の病室 手に残るノブの冷たさ 扉の重み
23
願いつつ あきらめつつも 手をあわせ 神仏さまに たくす我が身よ
9
語らひて食べるは楽しと言ふ義父を またもひとりの部屋へ送りぬ
19
姉だから妹のため我慢する役割背負う三歳の肩
13
熱中症 予防に梅干しの種ひとつ コップの底に沈めて置きたり
8
買い物に日が暮れてから行ったとて蒸し暑い道すいてない店
8
厳島
(
いつくしま
)
驕
(
おご
)
りて去りし波のごと
平家
(
へいけ
)
の跡に人は酔ひつつ
8
駆け込んで空いててよかった助かった 駅のトイレに神様は居る
16
朝八時 背中にじりじり 日差しを 感じながら 洗濯物干す
8
目をつぶり ショーシャンクのごと 手を広げ 冷却ミストの 涼に
抱
(
いだ
)
かる
7
スーパーの割引日だから冷蔵庫
急
(
せ
)
かして作る遅い朝食
8
僕なんか何もしてない 謙遜で言ったつもりがまさかのスルー
8
不器用な兄が差し出す海老フライ 何も言えずにレモンを絞る
6
片付けが出来ずに踏んだ洗濯物 過ごした跡を消せないままで
5
我が命洗濯よりも終わりたい目覚めぬ朝が来るのはいつか
6
ハリガネの剣先なんぞ ものとせず エサを届ける 鳩の風羽
5
一人来て また一人去り この世界 まるで学校 学んで帰る
5
クレープのキッチンカーの座席から手を振る双子の夏の精たち
5
手のひらに 何もないのと 嘆く君 空っぽだから 何でも掴める
6
言語化の このごろ流行る 世にありて
端
(
はな
)
より忘却 ことの
端
(
は
)
なるを
5
暑い日に限って米が特売で5キロ
提
(
さ
)
げての帰りは苦行
5
気が付けば 僕を残して春は過ぎ 夏の空には青を託して
5
微睡みて 昔の猫の 影偲ぶ 未だ耳残る 歩み音かな
6
緑より黄色に変えし向日葵や梅雨明け空に光を放つ
4
容赦なくジリジリ朝日は昇りけり日陰を探し早朝散歩
11
はじめての 玄米ご飯に 夫が言う 「やっぱり硬い」 前途多難か
7
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