お供えを食べた鴉がお礼にとお地蔵さんの頭に糞を
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点々と 続く足跡追いかけて  愛しき愛猫きみは陽だまりの中 
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この時期が一番夏を忘れてて 都合良すぎる「夏」に恋する
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本棚も椅子もベッドも溶けていく 夜に溶けない私は一人
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うっとりと五感を抜ける潮風に四月の海を確かめている
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焦げやすいフライパンを捨てる前他の使いみち考えてみる
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もう少し黒めの薔薇はありますか 忘れたくない人に贈ります
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まなじりが下がり優しさ増す表情かほの 老いか愛かは問ふまでもなく
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日焼けせし八手の若葉が気になりゐて間日まびなればよしと移植するなり
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あちあちのシチューの蕪をたっぷりと盛って差し出す小さな復讐
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くだらない世界が少し輝いた 君が笑って空気が揺れた
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蝶の舞う 春うららかに つむじ風 明日の行方は 誰ぞ知るらむ
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額縁を外した名画此処に有り水辺の道で眺める筑波
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「産むんでしょ」「妊娠したの?」「孫はまだ?」フローリングの蟻をつぶした
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おしゃべりをやめないひとの右上に『✕』がないかと探してしまう
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星月夜扉はずっと閉じたままギンヤンマしか棲んでないのに/折句・ホトトギス
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詠もうとも浮かぶもの無く虚しさがつのってできた夕闇の黒
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夜なべする人の気知らずねころがり寝やう寝やうと小言鳴く君
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ゆふぐれに黒を一滴さしたあと不機嫌な雲しっぽをのばす
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隔てなき空にふと手をかざしみる誰にともなく限りある身で
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吹く雲のひかる絹糸撚り合わせ風にながすはほのかな心地
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君想い 夜空見上げて 感謝する 何気ない日々と 些細な日常に
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柔らかな君の二の腕に焦がれつつフランスパンの硬さに泣くの
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真っ二つ割れたお気にのマグカップ僕の身代わり傷を引き受け
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銀色のフックは君に届くかな 天とを繋ぐ伸縮リード
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洗濯がはかどる天気だ お隣のベランダから微かな鼻歌
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朝起きて時代劇見て気になりて原作を買う百十円にて/NHK・陽炎の辻
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縁側で我が良き友とヘボ将棋 詰みを憎んで人を憎まず
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ダッフィーの緩い温もり抱いて寝る山里は 冬ぞさびしさ 勝りける 人目も草も かれぬと思へば /28/100/ 源宗于朝臣
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雨の夜に 紛ふメジロの 鳴く声に 君の孤独を たとへ覚ゆる
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