アラサーの息子来たりて隣室の寝息うかがう我はまだ母
17
雨の夜追っかけてくる捨て子猫ごめんねうちは飼えないんだよ
12
雲もなき あきつ群れ飛ぶ夕暮に ススキなびきて秋風ぞ吹く 
13
帰り道 擦り寄ってきた 淋しさと 今日は一緒に 眠ろうと思う
28
刈り取った田んぼをみれば白鷺か降りてついばむ秋晴れの空
10
キュビスムに私を見てよ 楚々と泣く女の中の毒と愛とを
10
少しだけ寒くなったと伝えたい秋は夕暮れお元気ですか
10
夕暮れにラッパは響く「トーフー」と そろそろ歩くボウル持つ母
10
夏という概念が好き 強烈に、海と終わりのにおいがしてさ
9
明日には笑えるだろうと眠りつく どうせアイスは溶けてしまうし
9
市が流す夕焼けチャイム早まって深まる秋の気配を感ず
9
ミラノ風ドリアにワインエスカルゴ 1000円で酔う最初のデート
9
朝めざめ なんとなく今日は 長袖を 選んで、あ私 恋しいんだ夏
9
朝寒に積読本を片付けて 余白に入る言葉を探す
9
先に寝る 猫を起こさぬ ようにして 布団の端で 私は眠る
9
空青く詩的な短歌(うた)が詠めそうと 流れる雲を二時間見てる
20
公園のマルチリンガル注意書き吾住む街はインターナショナル
8
分岐点来たる予感と裏腹に変わることなくおひとりさまで
9
バスを待つ万国からの旅人の手にユニクロの買い物袋
8
在りし日の 日記開けば 蘇る 熱気と風と 君の呼ぶ声
8
のり弁を 買いに来たのに 店頭で なぜから揚げと 迷うのだろう?
8
電車から 見える堤防 その向こう 見えぬ大河の 流れを想う
8
手洗いのバケツの冷たさしみじみと 何もせずとも季節は進む
9
怒りゆえ 口のまにまに 毒を吐く 本音の度合い 知らぬが仏
7
機嫌良く とことこ歩く 宵の猫 目を合わせれば そそくさ下がる
7
本心はみんな飛びたい騒ぎたい 道頓堀で おまわりさんも
9
明るさに やさぐれるなよ 過去を打て 嫉妬に狂いたくないわたし
7
蓮華座をわづかに緩め暮れ方の迷いの岸に影ひとつ浮く
12
君がのみこんだ涙と同じ数あめちゃんあげる 何味が好き?
15
乗り越えるよりも過ぎ去るのを待って 掘って 縦穴へと避難して
6