梅の枝切りて小枝をチップとす夫はゆっくり畑に返す
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紅を指すの横顔に白妙の綿帽子見る春のまぼろし
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人生の終まい方なぞようわからん乗り合ひバスの翁達笑ふ
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菩提寺の桜今年も咲き初むる巡る季節と流るる時と
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穏やかな 日曜の朝 出勤し 鶯の声 吾を励ます
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幼子の白き手あわせ祈るごと蕾ふくらむ木蓮の花 \ 彼岸にて
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ついにきた!かゆくてダルい花粉症 ならないことが自慢だったが
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旅先のローカル局の天気予報 地方の呼び名に旅ごころ満つ
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彼岸会の生家は静かに吾を迎え姉の供えるぼた餅みっつ
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今日できない事でも明日あしたできるかも 自分のペースでゆっくり行こう
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面会は流感のため取りやめと淡々と告ぐ電話の女性
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春風に乗って漂う風船よどこへ行くのかどこまでも行け
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老猫の踏む前足は律儀なる入眠儀式「整いました」
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彼の昔小さき苗植へ育て人感謝し歩く桜木の道
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窓開けぬ部屋はひやりと静まりぬ 外の陽気を他人事ひとごととして
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天に立つメタセコイヤをともにしてヒラヒラ花のこぶしの白き
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春めいた猫に遭いそな裏路地を娘の部屋へゆっくり歩く
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白妙の 清き衣の 雪柳 桜咲く前 春の出迎へ 
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ニュース読む AI音声 聞きやすく 「噛」んでくれたら 親近感わく
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春見っけ土を破りしふきのとう味噌に和えれば旬にとろめる
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夕餉にはポークソテーだ『肩ロース』お や こ母娘ふたりで愛を語ろうす
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夢絶たれ 土付き散った 千秋楽 賜杯抱く君 待つぞ高安
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鶏卵は隣町から鶏肉はメキシコ産で丼にて親子に
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亡き父の 描きし達磨の墨絵あり 災禍無きやう睨みを利かす 
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暖かな雨を孕んで吹く風が桜つぼみを優しく急かす /京都も開花宣言
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肩の荷を ひとつ降ろせば 蘇る 苦労した日々 今は懐かし
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窓映るシャツの膨らみ犯人は春風らしく夕焼けの街
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白木蓮見上げ「アヒル?」と聞きしこと 息子は忘れてもわれは忘れぬ /春の思い出
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丘の下何故だか甘く懐かしい 丘を登れば菜の花畑
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我が親友ともが かけがえのない我が親友ともが 癌と知りては沈む日続く
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