太陽の不在を夜と呼ぶように君の不在を恋と名付ける
20
「会いたい」の「あい」まで打って消してって「おやすみ」と打つ夜中のれい時/昨日の恋
17
築百年お別れですと張り紙は解体予定の家の柱に
10
夏を越え 初めて育てた タマスダレ 花咲く度に ベランダ覗く
20
いつの世も 宮使いとは辛きもの 上に諂ゐ下には媚びつつ 
18
白樺の木漏れ日浴びて氈鹿は蹄ひと打ち鳴らしたりけり
9
結局はなんだかんだで生きている丈夫なんだかしぶといんだか
8
あまたの穂 向きそろへては秋風と おいでおいでとすすきは誘ふ
9
幾ら柿食っても時が来なければ鐘は鳴らない法隆寺かな/本歌取り
11
先週はなんにもなくて 今週はなにかあったがもう忘れてる
8
ひそやかに蝉は卵を残し死ぬめぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に  雲隠れにし 夜半の月かな 057/100 紫式部
8
早起きも 辞めた煙草も 君のため 愛するだけで 死が遠ざかる
8
肌寒い朝を迎えたとまどいは時雨模様のためらいとなり
13
料金所優しい声の「お疲れさま」今日の私を見ていた如く
19
石鎚の山の妖怪ご来迎 霧の彼方に浮かぶわが影
7
制服とすれ違う時まだ人に優しくできる9月9日
7
リビングできみと食べる晩ご飯お腹満たされ心も満たされ
6
白露に入り「さむい!」と羽織るセーターに妻つくろひしパッチワークも
6
朝食に古いのは嫌開けたてを早く盛れよと鳴き止まぬ猫
18
朝風はすっかり秋の涼しさで顧みられぬ僕らの想い
7
雑草は日光なくも伸びるのか降り続く雨色艶を増す
6
草刈りの 匂い満ちたる 帰り道 青き夏まで 刈ったのは誰?
8
貴女から伸びる全ての矢印を私に向けて欲しいと願う
6
柔肌の溶ける酸ヶ湯の湯煙りの彼方に霞む影と語らう
9
なぜ僕は君に恋をしたのだろう 君にはいつも呆れているのに
11
三十万超えるスマホを買えるほど余裕な暮らしいつかはしたい
8
逆転を 期待してたら 逆転し 喜んでたら 逆転された
6
「おいしい」が 一番の推し 言葉なり 気づけば明日は 何つくろうかと
9
ぬかづいた土の冷たさひいやりと今も疼きぬあの日の決別
5
丁寧な暮らしの彼方わすれさる 死んだリップを使いつづける
5