死にたくて 買ったケーキを 食いあまし 明日のために ラップをかける
25
貼り終えし 障子に映る黒き影 貼ったそばから爪を研ぐ愛猫(きみ) 
21
一つ来てついと漂ふ秋津(あきつ)にぞ寂しさ添へる秋の夕暮れ
14
朝夕がひんやりすると思いきや足音立てて霜月が来る
14
ランドセル チラホラ見える 通勤路 昔は我も 純粋だった /V
12
うたかたの えんで繋がる この世界 残り人生 楽しからずや
15
ママ友のさそいに急遽のっかってきゅうくつになる暦を見やる
11
すり減った眼鏡のネジは締(し)め難(がた)くレンズに傷ああこんな事さえ/上手くいかないって何
12
透明なあの日に忘れ物をした戻ることなどできぬ きらめき
19
今日の夜風の鋭さに そう言えば、と流れ星さがし頬杖
8
食卓で 嫁の話を 聞きながら ポン酢をかける 隙を伺う
7
わたくしの個人情報漏れている とっくの昔今さら今さら
17
画塾行く彼女の決意寿ぎて朝の光に熱きもの射す
8
終活に思い巡らす秋の日に 友の息子の訃報が届く
18
新米のお礼にりんごもらいしもかじる音だめすりおろす我れ
6
「行く春や撰者を恨む歌の主」村上春樹に送りたい句ね
6
月毎の鈍痛が来た苛立ちに輪をかけるように解体の音/近所の解体
6
元気ならいいんだけどさ会いたいし四谷のヤギとか見ようよ今度
6
二千キロ 飛来してくる アサギマダラ 二十キロ走らせ 会いに行く恋人の如く
9
大蜘蛛が獲物見張りしクモの巣を通して見れり三日月の夜
7
インフルの予防接種を終わらせり雲の多い日紅葉の揺れて
7
流れ来る演歌の歌詞を反芻し 流行った訳が分かったような
11
目を閉じて 三つ数えてあの鳥が 飛んだら君を待つとしようか
6
椎茸を 安価が故に 箱で買い  悩んだ末に 干して満足
14
自販機もそろそろ熱い缶コーヒーあの雪の日の思い出浮かぶ
10
日高屋は持ち帰りの春巻き二個を分け合う恋人の作り方を教えてください
6
秋はまだ これからなのに 初雪は 何がなんでも 早くないかい?
7
口裂けの魔女にも似たりパンプキン 渋谷の街を見下ろす窓辺゛
4
人が見る吾の姿は鏡とは逆の姿と知っておくべし
4
行ってらっしゃい 口づけひとつ 手を振って ネコと見送る 朝のひととき
5