味染みて 煮崩れしてる ジャガイモを ホクホク食べる 遅い夕餉に
29
人生の形が円環だとすれば このドーナツも一物語
8
去りし夜 外まで響く 「オニは外!」 明日はひとり 小声で豆撒く
11
談笑が食器洗いのBGM この時間がたまらなく好きだ
12
リナックスを学びきて一年、その軌跡が五年日記の上段に見ゆ
7
あきらめず 思い貫け 砕けても 天に広がり 煌めく星に
5
暖房ももう一人分でいいの、だからぬるくもならないアイスコーヒー
6
この部屋に占める「私」が増えた日の 少し大きくあくびをする九時
16
テーブルの 向こうに座る カサついた くちびるの君 プラネタリウム
10
解体の義姉あねの棲家の家じまい嫁入り箪笥に見届けられる
30
もう役に立てそうにないから切って落としてぜんぶ忘れてくれよ
4
夕闇に何もなき道足取られ背後に忍ぶ銀色の影
20
むずかりて 泣く子の声に 似る冬の 風を抱きて 眠るの月
28
子育ての 資格もなくて 訓練も なくて人類 世代交代
3
よくもまあ 素性の知れぬ 爺婆に 子供を預け 社会進出
3
恐ろしや 鬼が子供を 支配する 死屍累々の 小さな心
3
謙遜で 何もわからぬ 人間が ちょっとわかると 鬼の形相
5
人間の 真価がわかる 弱い者 小さい者に 接する態度
6
新人の 婆さんたちも 一年を 過ぎればすでに 鬼の形相
2
謎解きの 本屋に入りて 異次元の 世界観あり 夢か現か
25
スノームーン 月の呼び名は 変われども 地を照らす光 永遠(とわ)に変わらず
11
煮崩れたじゃがいももまたご愛嬌 ポトフの湯気と夫待つ夕べ
31
失言も失政さえも怖くない なすりつければオールオッケー
6
唐国からくにと いくさをせよと命令す  私は指を治療しなけりゃ
6
小春日の温もり去った公園で 雨にけぶブランコが揺れ
13
題:「エメラルド婚式」  ​ 翠玉に  時ぞ積もれる  たらちねの  祝う品々  スマホ押し圧 
12
乗り遅る 乗り継ぎのバス へこを 慰む如く 月の眼差し/スノームーン
29
「あなたとの笑顔が一番楽しそう」種子島よりリフトオフ
6
凍てついたマンホールけ駆けて行く子の頬赤い二月のはじまり
15
艶やかな髪先靡く 鮮やかに残るは君の背を向ける故
9