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ふと見れば 空の只中駆け抜ける 時を教えた 紅の雲
4
抒情といふほどの情などなかりきと語れり 語るとは騙ること
0
瑕瑾なくありたいせめて皮膚だけは 中身はすでにずたぼろなので
4
祖父くれしオルゴール箱の蓋そっと開けて無音のトロイメライ
4
秒で寝る昼の休みの隙間には軽量のハンモックが掛かる
5
カーテンを開ければ緑の光射すあったんだなあこんな空間
3
扇子出し扇ぎ笑ってお喋りし小さな嘘も畳んで仕舞う
8
やわらかくつぼみほどいた紅い薔薇浅く目覚めて朝日を見てる
11
まだ青きトマト湯がいて皮剥けば香り顔出す小さき夏は
8
わたくしに夢があったか忘れたが夏に向かってひまわり植える
7
人ふたり ふたつの世界 その域を侵しあひてぞ対話とはいふ
0
この季節 人の身などでは叶わぬ願い 眼を取り出して 丸洗いしたい
6
気付かないふりをしていたあの時の俺の耳と目ちぎり捨てたい
7
「歌なんて知るんじゃなかったよ」つぶやく君に傘を渡した
0
ビー玉をはじく指先の青よりもっと冷たい嘘をおしえて
3
やさしさにふれてあなたのいいところ真似をしたくてたまらない夏
1
何時だって傷つくことのない世界なんてないからご飯おかわり
2
祈ったら氷河の果てのだれかともつながりそうな予感の夜明け
3
薄まった君の色見て思い出す夜更けになびく長い前髪
1
「人間」というものほんに煩わし
生物
(
いきもの
)
として最高や下や
1
ビードロの風鈴 チリリと君弾く 虹の粒子が縁側に舞う
0
大昔いつか誰かがみた夢の続きが書いてある日記帳
1
セックスがうまくいかない夢を見た 照明カバー内のカメムシ
2
五月晴れ 外に
出
(
いず
)
れば
眼裏
(
まなうら
)
の 敢へなき悩みを 陽の光に灼き
1
百代
(
はくたい
)
も ただ見蕩れたし 瑞瑞し
百合
(
リリィ
)
の蕾に 露したたるを
0
関係の結び目といふにはあまりにも解きがたき個のここにゐて
2
本心で﹁好き﹂を振りまく だがしかし あの人にだけ 言えないのは何故
1
この夏の終わりは確かに恋だった その汗が滲んだその首筋の
2
傷ついてさえいなければ 君はたぶん ギターを手にすることもなかった
2
夢に見たあの人どこの誰だっけ思い出せないまどろみの朝
2
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