俺のこと 一番知ってるかもしれない 汚れくすんだ 黒いキーボード
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重体の母の付き添い 途切れし夜 夫婦ボンヤリ 観てる寅さん
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「引力」の熱き響きへ触れも見で寂しからずや物理解く君
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休日にドーナツ二個と半個食べ 寝落ち 目覚めて 残りを食べた
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つけられたレッテル火を着け堂々と 性別欄に「私」と書くよ
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君という星に惹かれて堕ちていく 嬉しくもあり哀しくもあり
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照明が切れた 夜だし明日替えよう と思った矢先 こぼす酎ハイ
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好きなのと嫌いなのとは繋がって編み物みたいになるのだろうか
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ショーケース 翻訳された人の業 欲しい物だけどこにも無くて
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恵方向き畏まりたる静寂に響く胡瓜にふっと吹き出す
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ンン猫にンンン! ンンンンンンンンンンンン!! ンンンンンンンンンンかわいい!!!
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鬼は外福は内よと豆をまく児らの声して一人微笑む
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啄木たくぼくもきっと多動で根気なく短く呟くほかなかったんだろう
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冬の夜はさむいしねむいしはらへるし 布団の中で遭難している
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青空に穴開けたのはあなたです、青のセーターとてもまぶしい
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如月を待っていたのか 夕闇の中に漂う梅の香りよ
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なくなってわかったことは多いけどなくならないものあったよ今も
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洗濯が終わるまで待つ四十分明日の朝は何を食べよう
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ちらちらと雪舞う朝の薄曇り意味ありげに見る格好つけて
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優しく頑張れと言われたが あなたの背中はいつも遠く険しい
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占いに使う あなたのかお 嫌がるのは知っている それでも占う 優しいか否か
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爪を噛む癖は生来せいらい 業を失いジンジンと痛む指先
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薄闇に真白ましろのしっぽふわりふわ こみあげる愛しさ夜に溶け
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記憶の彼方 しろいもやのむこう 薄れる思い それでも強く焦がれる その背中に追いつきたい
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あいみょんのギターに合わせ 泡立て器 たつメレンゲにロック聴かせて
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愛しさか寂しさかこれは執着かこぼれた言葉は「君が好きだ」
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妹の愛しい人と対面す FaceTimeで飛び交う「Hello」
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ああまただ ゴミを捨てられなかったな まあいいじゃないか死ぬわけでなし
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春はもうそこまで来てる たとえ今北風が吹き雪が降っても
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寂しさと哀しみだけが埋められず産まれたままの無造作に棲む
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