瑞垣のひさしき世より恋ひそめき妹とへめぐる芍薬の園
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なにごとにも分けられもせぬ僕たちをきっと歴史は引き裂いてゆく
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ホームドアはひらいたままの状態となっております雲間のように
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モノを見る視線 みにくれる僕 確かめながらモノを見つめる
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霧ふかきあさの根本中堂にふとくひびかふ勤行の声
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漠然と面倒くさいが勝っちゃって目を瞑るのも億劫な夜
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強風は恐怖乾燥飛散スギ感想悲惨経過警戒
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感情を見せたらそこを弱点とするヤツ マジでムカついている
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君の名が呼ばれてはっと振り返る いないことなど知っているのに
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かくれてもむだだこれからこの町を包囲していくクラゲの群れが
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「この歌がとても好きだ」と言えばいい 言葉にできず淀んでいるなら
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通院の我に優しき花菜風 飛びつぐ蝶の生き生きとして
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今を生くことの倖せ想う時君にと作るチョコレートケーキホワイトデー
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なんとなく愁いうれいまといて春の日にセレナーデ聴きて余韻にひたる
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春の陽につぼみふくらむ菜の花を 鍋に押し込む非道を おれは
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いつだって何か書かねば生きられぬ 誰にも届かぬ歌を詠む午後
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まじないとのろいの区別がつかずに解いてしまった今は亡き愛
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元号もやまとことばになさつたら?それほどからがお嫌ひならば
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ふと見ると パトカー 真横 驚いて 乗ってた警察官は落ち着いていて
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愛だけは夜のぼくすら救わない そう知るために一生を賭す
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カタバミがパチンと種を飛ばしてる いつか芽を出す言葉のように
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母という なにか善きものらしきもの 恐るべきもの 恐ろしきもの
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目薬をさすときどこを見ればいいのか分からずに悶える日々よ
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肉体ははかなき器橄欖山登りしのちの睡魔はげしき
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杉の木を思うと涙が止まらない 愛しさ?いいえ明確な殺意
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ペンをとり本音という名の季語を入れ 心の四季を自由に綴る
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ふるさとに訛りはなくて啄木になれず渋谷のすみでぼくらは
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のんびりとただのんびりと歩きたい真昼の月の人ゴミの中
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肉じゃがを作れば君は食べるか、と想像だけの日々は続いて
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ああ 空が泣き出しそうだ 泣いちゃうと辛くなるなら 泣かずに過ぎて
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