あさやけとゆうやけの色は同じで、だから「時間」はないのと同じで
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沈みゆくふねを脳裏に浮かべながら茶店の椅子にしりを沈める
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葉櫻の雨に洗はれ輝やける新緑の道すがし風過ぐ
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立ち上がる雲の白さや梅雨晴れ間 植田のラインみどり眼に映ゆ
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噴き出した赤の滴る自己愛をラッピングして夢として飼う
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‪選ぶメニュー選ぶメニューがことごとく売り切れの日はちょっと誇らし‬
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雉撃ちて 放水浴びし 菊の花 今日の始まり 告げる音姫
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うららかな春の光につつまれて凍えた鯖はかーでぃがんを脱ぐ
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整数解のひとつみたいな君を目で追ったときには始まっていた
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終わりさえ 見えていなければ それで良い 気付いた時には もう見えてたから
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生ビール 深夜営業 何杯目? 語る夢とか 心は大きく
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愛せても 愛せないような 二人だけ 世界の真ん中 取り残してね
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舐める手の 溢れたカクテル 君のため どの舌でその 甘味味わうの
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上辺だけ 仮初の恋の 楽しさを 知った最後は 甘い蜜地獄
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きみの言う 俺のものじゃない 当たり前 気分が良いね その時だけは
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噛んだ跡 見た目にこそも 見えないが ヒールと同じの 痛みどうしてくれやう
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ソバージュの 香り高くて むせちゃうよ あたしの髪まで 染めないでよね
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今頃は 誰を思うの 電話越し 誰でもないなら 良かったのにな
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あじさいは朽ちる花弁の色だけで退廃語るだから美し
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とめどなく 崩れて溢れる 感情が 最後に壊すは 真綿の言葉
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ずるい人 貴方がもっと 悪くあれ 半端な優しさ 本音ぶつけて
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愛おしい私の全てを吸い込みたいって言ってる空気清浄機
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夢を見るいとまも無いほど懐かしい右目からのみこぼれる海水
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コスモより ゆらり煌めき降ってくる 幾千星と君のLINEと
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ひらがなに牙を抜かれた「ぼうりょく」は白髪交じりの猫にはにかむ
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栞紐 大海原に放り投げ手繰る言葉は潮に任せる
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夏が来て消せないメール開くのはあなたを知らぬ親指の爪
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傷口は癒えていないの今もまだ そっと布で覆ってるだけ
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あぢさゐの花にこころをたとへまし憂しと見し世のうすむらさきの
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日に火照る赤い唇に包まれてとろけて消える白のうずまき
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