僕のなか まだある歌や 物語 死んだらいったい、どうなるのだろう
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幸福を 誰より欲しているからこそ 君は優しく 笑うのだろう
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ヒロインが ピンクのニットを 着てたから もうこの話は 読みたくないの
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丁寧にこの世の景色映しては見送っていく各駅の窓
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アイスティーに浮かべた薄いレモンをそっと潰してお茶を濁した
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僕らには甘い言葉もいらないよ、笛だけでほら連れていけるよ
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蝉時雨も突き刺すような夏の日が唸りを上げて立ち尽くしている
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雨に濡れ相合傘で紫陽花の淡い青さの味わいに会う
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読まないで利用規約に同意して うさぎと結婚することになった
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すき焼きにうどんを入れるあいだだけ世界人類みんなで祈る
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無償からくる優しさなど 望んでない きちんと徴収してってくれよ
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二人して 古希の後先 なりにけり 共にある日々 噛みしめ生きよう
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新月の夜空彩る星の数眩いばかりこぼれ落ちそう
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お仕事は持ち帰っても仕事です 仕事なんです 家でやっても
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聞いてくれて 叫びにならない 声だけを 君がいるから 明日も生きる
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「人の言う」ことを「信じる」 あぁそうか 君は人ではなかったのかな
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どろどろと溶けるのならばとろとろと溶けたい 君は分からないかもね
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見渡せばどの星にも名は付いていて 君という星は何処にもいない
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「馬鹿だね」と笑う貴方につられてた コーヒーよりも苦かったのに
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グラスの中 注いだレモンソーダから 設立 星の瞬き工場
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小イカ炊く匂い吐き出す換気扇 西日は窓を煮しめるがごと
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緑色たちまち黄色になり爆ぜて 真紅の種を宿せしゴーヤ
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苔むした石段登り木漏れ日の地蔵の影ふみ日本で伸びする
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ASMRみたいだ雨音が止んだ自室のポテチ食む音
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買ってきた ピーマン刻むの めんどくさい おれに励ましの おたよりくれよ
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夕日が私を抱えて飲み込んで濃い藍色の夜が始まる
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「それは君 思い上がりだ」と誰かが言う それでも歌う、誰かのために
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表面をなぞって分かった気になって音も立てずに芯から朽ちる
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「ごめんね」が夕方の風に溶けていく 涙まで連れていかないで
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その場所の存在を想うそれだけで心が安らぐ我が秘密基地
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