「すみません、夏の匂い置いてますか?」「ラムネの瓶に詰めてあります」
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落ちそうなほどたっぷりと真夏吸う あの雲にいま、なってるところ
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逃げ方を忘れた日没迷い込む さよなら傘下区また来て死角
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こんなことで もう泣かないでいいように 君の光で 僕の目焼いて
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厨房の裏で頬張るまかないは ちょっぴりネギを入れすぎた 辛い
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自堕落に100の段階があるのなら毎日アイスは20くらいかな
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つめたくもあつくもない水みたいに生きていつかは雲になりたい
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姿なき鳥に鳴かれて渋々と日陰を抜ける歩行者の群れ
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ベランダの洗濯槽でほっとかれ乾き始めているバスタオル
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今ならば時流となる密室に香るヘアーサロンよ、高円寺
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特注の極太ロットに君の手が充てがい巻かれたながい髪
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頷いて顔は笑みでいるけれど 心は笑えぬ人の家族自慢
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天国の階段天使が待っていて突き落とすとき極上の微笑
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魂のたしかにあった抜け殻をポケットのなかで優しく包む
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ゆり垂れて水銀灯で影作る 悲劇の女優は少し笑ってた
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香水は付けてこなかったあの夏の香りはずっとシーブリーズ
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合鍵を置いたアパートにサヨナラの急な坂道が待ち伏せている
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バッテリー上がり慣れしているクルマでも湘南の海風爽か、
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片恋の相談を奪い取る君のほんとうの好意は何処にある
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眠たくて濃いめに淹れたコーヒーの黒さみたいな私の愛情
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包帯を巻いておきなよ雨が降る前から傘をさしてるみたいに
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結局は「どんな君でも好きですよ」どうかお願い伝わっていて
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終わりかけの夏にやっと手を伸ばしもうすぐ届く17の君
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暑い夜に続編レンタル100円か是非凍えたいシャイニングかな
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帰宅して脱いで揃えた革靴に37度の外気が残る
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B棟の音楽室は今は無く渡り廊下に抜ける春風
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花盛り終えた向日葵頭垂れ種のみ残し静かに眠る
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夕焼けが終わった空のうつくしさ 言葉などでは綺麗に描けぬ
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熟れすぎた トマトを小さく 切り分けて 君のお口に 含ませたいの
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君の笑み 太陽とすると 光合成しすぎて僕は ジャングルになる
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