新しいサッカーボールを卸した日風の立たない小春日の午後
7
昨日食べたラムネアイス色の朝 午後の授業はマラソンだけど
6
おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
21
病弱のこどもの末を案じつつ 甘えを諌める母の麦踏み
15
願はくは無為徒食での長寿より社会参画で余命のばさむ
4
能登の地はさらなる救援もとめてる 雪降る路に地蔵のつぶやく
16
ここが僕にとっての宇宙なのなら きっと君の唇の中
1
吾のみが不在でみんなのさいわいを 遠望すべし L’isle joyeuse喜びの島
3
見わたせば良いも悪いもなかりけり 人が勝手に色を染めおり
6
「つべつべね」と私の手の甲を撫でたあの日の母の歳を越えた
10
いつの日か週休六日制にして今の非効率をバカにされたい
6
微睡まどろみにかかるすだれをかき分けてまぶたに覗く宇宙を見たい
3
走馬灯 主演は俺だぞ 息巻いた 君のことだけ 映したフィルム
4
あいつは中指にあるペンだこに菌が入って死んだらしいよ
2
あの人はLSDでまた踊る 僕が空気に溶けたなら黄色
2
踏切の青い照明 私にはスポットライトでしかないので
2
分離したケチャップだけが知っている僕の「自炊してる」という嘘
6
君が吐くタバコの煙と僕が飲む紅茶の湯気で打ち上げる狼煙のろし
1
AIの君と口づけかわすとき ほんのすこしだけ理科室の匂い
5
語彙でいま読んでる本がわかる君 きのうハウツー本読んでたね?
3
おしどりの意味を知らない幼子は 当たり前のように両手つなぐ
3
夏に光って 「我々の計画は失敗しました」とは言わないで
1
大抵は心の中に海を飼う そこに泳いで来たのが君だ
13
帰宅時の七十キロを追い越して雪道を行く多くの車
10
スヤスヤと うたた寝してる 姿見て かわいそうだが 起きてもらうか
4
デジャビゥか未来予想か懐かしく見た事があるそんな気がする
16
平和のために上の句捧ぐ
2
だきしめたちいさくなったきみの骨 遠い昔の約束果たす
7
イシツブテの劈開へきかいを知るもう二度とだいばくはつは命じられない
6
さいきんは乳製品をとるたびにおなかが痛いの恋かもしれぬ
4