存在を忘れがちなる芋竹輪冷凍庫にはキノコとお揚げ
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刻まずに這わせたままが木通弦あけびづる良かったのかと後悔してる
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十時にも似あわぬ空の雨深く明けのバスに残っているよう
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しづやかに馬は立つなり装蹄の釘打つ音に瞼閉ぢつゝ
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アルバムに挟まれていた押し花の記憶を吸ってあなたを綴じた
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中毒になってしまった伊藤園理想のトマト紙の青汁
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甥の子にハンドメイドの積み木買う これって昔甥に贈った
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人間に喰はれる為に生まれしや豚の子どもは戯れ合つてをり
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半導体は軍事で使うが学術会議は当然研究の中止の圧力だろうな
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本当に九条を守っていれば平和だと信じているのか と聞きたき思い
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真夜中の人も車も通らぬに規則正しく光る信号
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暗闇の中で鴉を探すよに姿は見えず でも声はする
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「おはよう」をいの一番に言いたくてペダル踏み込め春より先に
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芍薬を父の墓前に嫁自慢座っても良し歩いても良し
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何もかも 崩れ落ちるか この闇に だが手を伸ばせ つかめあの空
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悲しみは別れではなく心までカネに染まった君の貧しさ
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九重に散ったさくらのあとしまつ うすべに甘く仔鹿がたべる
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私には愛が遠くて尊くて樹木希林とはなんて深いの
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つやつやと輝き示せ 身は例え千々に裂けても モンステラの葉
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脇役に添え入れられし梅干しは 我が家の庭に咲し花の子
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破られる前に食べますラブレター 差出人をくろやぎとして
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実際に手を動かすのが大事って頭で思ってそれでおしまい
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横になるのが標準の姿勢です座るだけでも仕事は疲れる
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悔やんでも変わらぬ過去と 望んでもかなわぬ?未来 ブラックホールの差
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隣室でゴリラが二頭暴れてるどちらも女性のはずなんだがな
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今はもう 君のお守り たからもの 独りのこころ 支えてくれる
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この名前 君に名付けた 贈りもの 今まで呼べず 淋しかったろ
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「聞き上手」言われていたし思ってた あの子が話し上手なだけで
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一人きりの方が楽だし内側なんて知らなくていいよラナンキュラス
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朽ちし棚新しくして藤の木は蔓また伸ばしやや花つけぬ
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