健やかなるときも病めるときも独り鐘の音を聞く街路の上
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目覚めては都会の価値は薄まってやがて私は海へと向かう
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白花のあじさいにバシャリ紫蘇ジュース染めたかったり染まりたかったり
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悔しさがあれば進める泣けばよい 立ち上がるならまだ負けてない
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午後九時のブラックコーヒー飲む君はこれから何をするというのだ
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梅雨だからたくさん歌を詠いたい傘や紫陽花とか君のこと
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遠くでバックドロップの音がして児童相談所が起きる夜
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我が言葉空中散布せよドローンされど書庫にはデータ残らじ
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街中に金属打音が鳴り響く改修工事のビルの屋上
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この世をば我が世とぞ思ふ望月の 欠けゆくことを知らずありたき
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この世をば我が世とぞ思ふ望月の明日の宵には欠けたるを知る
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悲しみの 有無を言わせぬ苦があれば 有無を言わせぬ快しかるべき
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楽しみの 有無を言わさぬ快あれば 有無を言わさぬ苦もしかるべき
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素晴らしき言葉は一つ廻るルナ このただひとつ大切なもの
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素晴らしきこのただひとつ廻る地球テラ 言葉は一つ大切なもの
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面白き事も無き世を面白く 生きる人には非難囂々
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面白き事も無き世に面白く 生きるに入り用金・嘘・色目しょうもないこと
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八度五分 ぼくのおでこで暖を取る シワくちゃになった熱さまシート
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戦ひを語らずわれら生き得しはかれらを戦はしめしゆゑとぞ
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噛み跡が洗い流れぬを確かめひとり微笑む翌朝の風呂
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口紅とファンデーションとマスカラがシャツに滲んでパジャマとなりき
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パンゲアが再びあいまみえし夜やシーツに寄せる津波は高く
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前腕の産毛を舐めて這い登り鎖骨の丘でキスのビバーク
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暗がりに迷いこむ 灯りの存在に気づく そこですべて終わり
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夏の日を希釈してゆく微炭酸 ビー玉にもう手が届かない
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夜の空きわ立たせるためシャー芯をコンセントへと 冷たい火花
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自然とは滅ぼすべからざる敵手 意識に於ける身体に似て
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今はもう 亡き君にあえて 送るメッセージ バースデーは 変わらずめでたい
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根を持たぬ飾られ花は一時の水与えられ艶姿えんしを誇る
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音量を小さくしても聞こえるは夏虫の声家鳴やなりの響き
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