夜の秋こんな気持ちはもういいよ青の侵攻、脈打つ米噛み
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真っ白な スケジュール表 ああ今は 夢見ることすら 許されないのか
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すれ違う男女が遠い。地球外生命体だ、私はきっと。
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なおらない寝癖を冴えたアンテナにして聞く弾む秋の足音
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水羊羹 青年の顔 赤くして食べぬ
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シナモンのかおる朝にも限界があるって知った 一日二錠
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泣きながら別れを告げる君の声 それを支えるスマホスタンド
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山上のやしろを照らす月光は吾の子どもの心の子守唄ララバイ
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ねたふりをしている耳にかぜの音われの内なるこどもふるはす
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死は作品ではないはずだ文字列で存在をかき消してから死ね
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秋の夜はますます深く街を抱き あなたも眠る 短い夢と
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ぼくたちの出番だ空でほのぼのと秋の行進するひつじ雲
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駄菓子屋はモラトリアムを見捨ててくきみは夏など振り向きはしない
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此岸から見えぬ彼岸の想い人ふと追憶の君の声かな
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なんかもう在宅と株とマンションで雑に稼いで猫と生きたい
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朧月夜に 怪盗二十面相の 影が映るよ
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弁当のレギュラー会議の時間です。(フキは覚悟を決めていました)
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下腹部を研いだ刃で貫かれ 「溺死する前に抜いて下さる?」
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直立も出来ない程の酔の果て 朝はまた来る仕事に行こう
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すりきれてすりきれて干割れた自信せめて自分に赦されたいよ
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本体はここではなくて文字列の間にあると言い切れるなら
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「ていねいな暮らし(笑)」と笑う人たちはどうせ救ってくれるわけない
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にぎった手が きみだとわかる こんなにも さっきもちゃんと消毒したのに
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エアコンは口から涎を滴らせ極地の息吐くけだものとなる
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失ったひかりと共に名を変えて月は見えなくなったって月
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りんご飴 もはや縁日では食べぬ ナイフとフォークで切り分けて、秋
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昨日見た映画の評価を聞いてみる 君のレビューは信じてるから
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日に透けるすすきに白く風吹きて水無滝の川ぞ流るる
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りんごには 中身があるか 空なのか さっき電車が通っていった
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寄せては返すカーテンにモビールの音近づいてまた遠ざかる
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