手のひらのうへにのせたるしろたへの豆腐すずしき夏は来たりぬ
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学生街 去る日に見かけたあの人は 最初の夏まで友達だった
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‪これからもアイスの溶けない距離にいて 甘噛みされた耳に疼痛‬
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言葉とは孤独にならぬ術のこと自分以外の人にも同じに
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マクラーレン そのセクシーな ボディさえ 眩しいオレンジ 張りゆくマリーナ
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化粧箱入りのイチゴがあるからさ、うちにおいでよ君が好きだよ 
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ビル群へ 歩みを進める 社会人ゾンビたち 失わないで その輝き希望
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背伸びして 頼んだジンの 苦味とか 甘味や雑味 丈に合わない
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世界をゆっくりとあじわうこと 風を感じるBlowin' in the Wind 君に見惚みとれる etc.
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シャボン玉捨子の私の時代にも 死の前日に父が救えり
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一晩中呑んで迎えた朝方にこっそり語ったふたりの本音
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夢の世にすめばなつかし夏木立こずゑの鳥のさへづりの声
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愛すべき 人がそこには いつだって いてくれるのに 満たされない
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いくつかの台風のあと町を出る 行きがかり上恋しただけだ
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フレットを押さえるような自然さで約束交わす夜の講堂
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竿先に魚信微かにあるように予感はいつも揺らめきながら
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捨てきった社会性を掻き集め たまに浮上す深海魚のゼミ
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片恋を諦めたって人間のあたしは海の泡になれない
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終わらない夏の絵日記汗かいた瓶コカ・コーラ透かし見る夢
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交差点 働きたくない 若人の 聞こえた一言 誰だってそう
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一瞬の またたくく光 掴むため 生きていくんだ 傷だらけで
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明るみに 投げかけられた 秘密たち 大人が守るの? 暗黙の中で
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鋭いね 君の視線で 突き刺して 好きな感覚 蘇らせてよ
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魂よ 叫び出してくれ この一瞬 生きるためなら 立ち上がれ
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シャガールの絵画のようにふりむいて変な角度で口づけられる
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真っ白な地図を持って出かけては途方に暮れる人の一生
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現代の 淀んだ流れに 牙を向く 見えないほどの サラサラな血
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外出は犬の散歩とスーパーとそんな夕方茜雲見る
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ほめられた服は忘れずボストンに詰める小さく小さく折って
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旺盛に僕は生きるよジェラートをそそり立たせる銀色のヘラ
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