夜の川 繁る葉っぱと廃電車 盲目のまま歩き続ける
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川べりで小魚殺し戯れる女も親になる日が来るか
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学校はきらいじゃないよ教室がいやなの虫の気分になるの
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「なあ俺ら漫画で例えりゃどのあたり?」「一巻の終わり」「お後よろしい?」
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鉛筆が折れたささくれ鋭くて共通テストの厳しさを呼ぶ
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現在の用語法ではまだ「死」とは圧倒的に肉体の死で
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この罰はいつ終わるのか花色の小石がひそりたたずんでいる
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咳の音 素顔のひとをこわがって 花見られずに明日から五月
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朝礼も運動会も式典も出たことないがわたしはまとも
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沈丁花 いいとこなしの俺たちの最期にもったいないほど淡く
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粉薬 砂鉄のようにひろがって うちら頑張って生きたじゃんね
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自分よか病んでるやつのツイートをプリントしてはトイレの壁に
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少年の頃のかさぶた 今はあざ くすんだ気持ちに流れ込む赤
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あたまのいいやつはシンプル 何が違う おれもこんなに単純なのに
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桜とは 微分積分 対数と 線形代数 数Ⅱの賛辞
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咲き終えてなお真っ直ぐである菊の茎ビニールを貫いている
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厚着の隙間不意の寒さと汗流す3辛のカレー これ全部恋
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麗しき 乙女は去りぬ 今ここの 逞しく立つ ほんとの女
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早乙女の 姿探せし 夢の中 氷凍てつく この時期にこそ
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門柱に子羊の血を塗るように「久松留守」と書いてみようか
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誰にもある つぶれちゃいたい夜のため 遠い恒星 星のまたたき
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君のその 匂いが僕の 肺の奥の よどんだ空気に たまり続ける
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倒れたら 起き上がるしか ないのだろう けれども僕は 起き上がれない
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無常が 永遠だとは 思わないが 愛だのだって 同じなんだよ
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星空に愛がぼくらを写像する 君がいるから光るシリウス
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対数を僕の味方と信じたら降る雪ですら桜とおもう
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寒空にひこうき雲が幾筋も伸びボーダーのセーター着せる
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派手に手をふり間違いに気づきすぐそんじょそこらの私にもどる
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昼過ぎて植木横目に歩くのは 灯油ストーブ捨ててある道
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四捨五入 あってよかった二四才 ざけんな呪うぞ二五才
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