夕暮れは祖母の皺影深くなる家族守った傷痕のよう
8
飛ぶ鳥は後を濁さずナンプラー歯ブラシピアス持って出て行く
13
元気なら馬鹿でもちょんでもいいんだと言う親がいて「言うね」と思う
7
教科書を ぎゅうぎゅう詰めた 学生鞄 肩に食い込む 紐の感覚  
8
目の奥がなんてことない朝の光りに、ツーンとする、ツーンとするよ
0
マフラーを あの時巻いてくれたのは 僕にとっては 貴方でしたよ
3
吐きそうに なりながら 目が覚めて 泣きそうになりながら 家を出る
2
君の前髪の〝くるん〞てしてるとこ 秋田わんこの しっぽに似てる
3
目を閉じて 耳をすませば 響き出す ちょっと癖ある 低音ボイス
3
「ほら僕は なんでもない日、おめでとう派の人だから」 「何その派閥」
4
もう二度と 行かぬであろう 公園に 住んでたキリンと聴いてた唄です
2
感呪性ばかりが育つもういっそ全てに対して目を塞ぎたい
5
今日もまた 眠剤飲まず 眠れない 何のための 眠剤なのか
3
熱に浮かされて見ていた夕時の まどろみの夢のような音色だ
3
NHKを ネタにするのは もう止めた 3番煎じは もはや通じぬ
2
パンプスは いけない、どんなに愛しても 磨り減ってゆく (あなたのように)
3
灰色の 夜道でひそかに 勇気無き 案山子が売ってた 甘いチーズ
2
もう二度と 目覚めなかったら いいのにと 思って寝ても きっと朝は来る
6
一区画 向こうの高速道路から 走るラジオの気配がする夜
5
西の空の 昨日の三日月 キレイだった 2人で見れた それだけでうれしい
5
君の声に 救われるひとが 数多いる だからわたしは 言葉を紡ぐ
3
とらわれぬ君が好きだと言う君にとらわれかけてしらじらと朝
4
なんだかいつか太陽に暴かれてしまう気がして遮光カーテン
3
体内が きれいながらんどうなので 少しの紅茶が ころころと鳴る
6
手に届く 五分の一の星空を 軽く越えてく君を知ってる
3
丁寧に 折り畳まれた 悲しみが 湿気を吸って、ふっ、と開いた
12
アメリカの西海岸で泣いた子の 声が日付をまたいで届く
2
「こんな日は奇跡が起こるらしいんだ」 流星群がきらめく夜更け
1
つまらない女ですのでわたくしは きみの微笑みひとつで幸福
2
名残り惜し 転がる煙草の燃えさしは 今日の私のヤなことの数
1