この頃の 雪降りたるは 静かなり 吹雪く日待ちて 歩く日々旅
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秋も去りひっつき虫だけ残る冬 毛に絡ませて命運ぶ犬
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馬鹿だから知らない君のことで泣く ガラスの靴は私のじゃない
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言い聞かせる「恋じゃないの」違うって 涙を拭う君ではない手
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詠めるのは他人ひとに刺さらぬものばかり 壁打ちをするいつだってひとり
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波流る 瀬に打つひれの 水飛沫 橋下きゃかの宿りは 火も起こせぬよ
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散りぢりになれども尽きぬ想ひゆゑ 一枚ひとひらだにも君がもとへと
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目も合はず夜闇に浸る時にこそ 我が身の温きことを我知る
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知られじな夜もすがら吹く木枯らしに散るもみぢ葉のつもる思ひを
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走り去る仔猫見かけて心憂く 寒空の下たった一匹
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「勘吉」と名付けられたる他人ひとの犬 顔出し見れば優しきチワワ
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バスの椅子温くなる時期参ります 行き先不明優しい夢を
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はじめてを奪ったやわいくちびるが死ぬほど好きだから死んでくれ
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やはらかに寄せる光に 包まれて ながきまつげの 影さへいとし
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鈴の音に 子めく心をときめかせ 飾り煌めく夜を待ちたる
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‪二人いる隣の席の高校生笑ってるから目を伏せていた‬
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‪一本の、三、五、あわせて九本の、バラ、そう言ってはにかむあなた‬
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さざんかや ほろほろこぼる花びらは 刹那せつなにほへどもなまめかし
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デラックスメガ盛りパフェのスプーンを引き抜くうちらの天地開闢
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かまきりのたまごしゃりっと踏み潰す 就活なんかやらなくていい
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愛情の欠乏症です砂を噛むようなコンビニ飯が苦しい
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おのおのにおもひ人ある かたみゆえ 心解き難く 程は詰まらず
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あられ降り 首を縮めて水抜きを つらい月日も 温ぬくく過ごそう
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さきはひし言霊ことだまは今何処いずこにか 影ひそめては 星に響きて
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初めてのお化粧したの 就活のためは建前 貴方のために
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割烹着かっぽうぎ姿でいっぱい温もりを 込めて待ちたい 君の「ただいま」
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行く先を しかと見据えて歩みたる 若人たちの背は目映まばゆきて
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おもうこと甲斐性なしの情けなさ甲斐ある仕事出来るだろうか
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永遠を誓い合ったプルタブの指輪 滑り台の頂上にて
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ふたご座のひととあひみるみづうみのほとりにたてば夕波千鳥
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