ぶっ叩くエンターキーが何らかの手違いで爆破ボタンになれ
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家出した実家に息子連れて行き 母に合わせて亡き父想う
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おにぎりのお米一粒かのように目的地まで押しつぶされる
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彩雲にカメラを向けている春は戦争が近づいている春
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嘘のよな桜の花の散る頃に 芽生える想いは蒼き葉桜
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退職する 人を困らせたくなくて、定型文に感謝の想いを
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日が延びてゆるりと茜染まりゆく窓見やりつつ夕餉の支度
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この詩を詠めば貴方の十秒が消えるだなんて泡沫のよう
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切れ切れの 飛行機雲を目で追って 「首ってこんなに 動くんだ」と、きみ。
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箱庭の中へ死にゆきぬ智慧の実も腐りきつたり 食卓のうへ
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ヒトのに笑って見える ねこの顔 目を細めている 気持ちよいかい
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才能を買ってもらえて嬉しいです  とにかくやります頑張ります
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おほよそは自我の固執にとどまりてあつらへらる現実に止まる 
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即現実手に余る地下劇場102階まで想像力の世紀よみがへれ
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緊箍児きんこじが 縮んでくような頭痛する 許してください三蔵法師!
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短歌とは 愚痴の捨て場と気が付いて いいも悪いもリモコン次第
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口角を上げて綺麗に化粧して ヘの字に曲げて街へ繰り出す
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何気なく ぼんやり観てた 映画から これはと気付く すべてが学び
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酔っ払ったバンド仲間が大声でラップを歌って夜道を帰る
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大時計十一時五十分ほどをフォークロアの花束の静まりて眠れ
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くしやくしやにひらく水芭蕉枯花より晩冬落雪鳥花図に目
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支那の売人に罌粟の花燃ゆるものは愛・麻酔・飼犬
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貝殻の塔階段まで三浬みづつかば水没寝臺へ夫人・夫
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春風に 優雅に吹かれ 花びらが 最後の時を 楽しむ宴
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目も覚める 苦めのコーヒー 飲みながら 春の眠気と戦うわたし
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次々と社員が辞める八百屋にて客の老婆を怒鳴る御子息
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うとうとと宅配待って午睡ひるねかな お昼もおやつも ねこ母はまだ
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言われなきゃ 見えなきゃ分からぬ 境界線 どこまでいいの? お手上げなのよ
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年齢の 一個違いや 同い年おないどし そんなたいした 問題でない
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あなた宛て 問いかけるのは 本心が 経緯が 動機が 知りたいだけで
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