なぜだろうみんなが好きと言うものがよくわからずに雲を眺める
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やさしいの定義を少しまちがえて勘違いした慈愛をそそぐ
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雪解けの 音も聞こえぬ とき色の 霞かかりし るの月かな
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日当たりのあたたかい場所澄んだ風 ハエトリソウの求める理想
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想像をしてみてひどく滑稽な横になってる倒れた私
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夜を指しとてもきれいと口揃え皆が見るのは夜よりも星
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あたたかいうれしい紅茶で機能する深い呼吸とその後の余韻
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春を待ちきれずに枯れてなくなって冬に留まる晴れ知らぬ僕
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紫陽花も千日紅も向日葵もキミとの日々を隠し持ってる
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私がねきみのひとりめの信徒なら生まれた日から暦をつくるよ
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足早に過ぎ去る人混み都会では 時間の流れが違うのだと知る
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新しく買ったイヤホン デザインを 優先したけど音も良かった
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子が巣立ち 仕事帰りに 買い物し 巣に帰る鳥 眺める夕べ
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うつろいて うつろわぬもの ここに有り それをたしかな愛情といふ
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明日でもお菓子をアテに飲もうかな 連休中に桃酒をあけたし
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手に取った本の重さで綴じられたことばの海の深さをさぐる
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世のために役職数多あまた引き受けて叙勲縁なく傘寿となりぬ
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瓶コーラ昔懐かし王冠を遠巻きにして小六の孫
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されどとて とれぬものが 流布してく 泣く泣く行過ぎた諭吉たち
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6本のパックのビールを買って待つ 貴方と一緒に楽しく飲める日
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自供する罪がないのが残念に思えるような断崖絶壁
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胸の奥 大切な人を送るたび 開いてく穴を 抱えて歩く
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新緑の風吹く丘に我立ちてじっと手合わすよき月参り
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妻の外出不機嫌になる暇がある古希をするより内緒のビール
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冬物の衣服と布団の片付けで 連休中日の一日が過ぎてく
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じゃがいもに育て育てと追肥して 吾は不調よ熱中症気味
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日曜日 私の休日落ちてない カバンの中も机の中も
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みづとりの 靑葉あをばをぬけて立ちぬれば ひろぐる空に風のかをらむ
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「豪華船一度は乗ってみたいなあ」何気に息子につぶやいてみる
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折にふれ語りかけたき亡き友はライントークの最後尾にをり
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